夫なき妻
解説
「サラアと其の子」「医者の秘密」のルース・チャッタートン嬢と「シャーロック・ホームズ(1929)」「桃色の盗賊」のクライヴ・ブルック氏とが共演する映画で、ガヴァナー・モリス氏の原作による小説より「サラアと其の子」のゾー・エイキンス女史と「恋愛運動場」「ウォール街の狼」のドリス・アンダーソン女史とが脚色し、「サラアと其の子」「底抜け騒ぎ」のドロシー・アーズナー女史が監督したもの。助演者として「若き翼」「桃色の盗賊」のポール・ルーカス氏、「恋愛運動場」のハントリー・ゴードン氏、ヴァージニア・ハモンド嬢、トム・パトリコラ氏、セシル・カニンガム嬢その他が出演、キャメラは「命を賭ける男(1930)」「アパートの殺人」のチャールズ・ラング氏が担任している。
1930年製作/アメリカ
原題または英題:Anybody's Woman
ストーリー
一時も幸福に廻り会う機会を得ず、わびしいコーラス・ガールとして流浪の日を続けている1人の女性パンジイをめぐる物語である。舞台に於ける扮装が穏当でないとの理由で、或る時彼女が捕縛されたことがあった。グスタヴ・サクソンという富豪が彼女に興味を持って弁護士ニール・ダンラップに彼女の弁護を依頼した。ニールは妻のキャスリン(キティー)が自分を捨てて或る金持の所へ走って以来、友人のアパートメントに籠って酒に浸って暮していた。或る時そのアパートの窓からパンジイが彼女の唯一の友達のダットと2人でしとけない姿でいるのが見えたので、ニール達2人は女の所へ押しかけた。そして酔っ払って正體を失っているニールは其の晩の内にパンジイと結婚してしまう。翌朝、酔が醒めると同時にニールは非常に驚いたが、ともかくパンジイと同棲することに意を決した。ニールの友人達はこの事件のために彼を去って行った。そして彼は仕事を失ったのであったが、只1人サクソンだけは此の境遇に於けるニールの勇気を愛して法律顧問として彼を手許に置くことにした。パンジイは自分の恩人であるニールがこんな風に堕落してゆくことを嘆いて酒に遠かることを忠告した。こうしてニールは再び立派な法律家として仕事に精出すようになったのであるが、その頃からサクソンがパンジイに想を寄せるようになり、ひそかに彼の愛を打明けてニールの所を去らせようとした。パンジイは露骨な愛を示したサクソンの頬を打って侮辱した。ニールは彼の最大の顧客にこうした行動に出たパンジイを責め立てたのでパンジイは怒って彼の家を出た。その後でニールは彼女を心から愛していたことを悟りサクソンの法律顧問たることを辞し、公然サクソンと愛を争って再びパンジイを得たのであった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ドロシー・アーズナー
- 脚色
- ゾー・エイキンス
- ドリス・アンダーソン
- 原作
- ガヴァナー・モリス
- 撮影
- チャールズ・ラング