暗殺街

解説

「人生の乞食」に次いで製作されたウォーレス・ビアリー主演のウィリアム・A・ウェルマン監督作品。「女の一生」の原作者サミュエル・オルニッツの「党戦」を基にオリヴァー・H・P・ギャレットが脚本を書き、ベン・グローモン・コーンが脚色。ビアリーの相手役は「情炎夜曲」「大尉の娘」のフローレンス・ヴィダーと「マノン・レスコオ」「ドン・ファン(1926)」のワーナー・オーランドがつとめ、共演に「艦隊入港」「青春狂想曲」のジャック・オーキー、子役ジャック・マクヒュー。撮影は「人生の乞食」「暗黒街の女(1928)」等のヘンリー・ジェラード。

1929年製作/アメリカ
原題または英題:Chinatown Nights

ストーリー

米国のいたるところの大都会には、必ず中華街と呼ぶ一区廓がある。そこでは金儲け以外には眼中何ものもない中国人たちが、根を下して一生を稼ぎぬく。彼らは中華料理店やクリーニング屋などで渡世しているが、その裏面には常人には想像も出来ないほどに驚かされるようなことが日常茶飯事の如く繰り返されている。…これはこうした中華街の裏の物語である。ジョーン・ハットン(フローレンス・ヴィダー)という上流社会の令嬢が、ある夜歓楽を求めて遊び廻り、中華街見物の乗合自動車に乗った。そして路上で一中国人が暗殺されるのに遭遇し、混乱のうちに彼女はひとりそこに取残されてしまう。続いてものすごい殺人事件が起こったが、彼女は中華街を牛耳るチャック・ライリー(ウォーレス・ビアリー)という男に救われた。ジョーンはライリーの奇怪な性格に心を惹かれ、一夜を彼の住居で明かす。ライリーは酒場とダンスホールを経営しており、和平党の首領として、好人党の頭目ボストン・チャーリー(ワーナー・オーランド)と対立していた。この両党は反目して日夜血なまぐさい闘争を続けており、今度も好人党員が和平党員を殺したというので、ライリーは開戦を宣告する。両党は中華劇場で衝突し、ライリーは敵弾を腕に受ける。その夜も友達を連れて来合わせたジョーンは、ライリーを介抱する。その時から、2人は情を通じるようになったが、それはジョーンにとっては上流社会との絶縁を意味することだった。しかしジョーンは上流社会の女であり、ライリーは中華街の男、生きる世界の違うふたりだった。ジョーンはライリーの命を案じて党争を中止させようとするが、ライリーは遂にジョーンを放逐する。行き場所のなくなったジョーンは、暗黒の巷の流浪女となった。彼女を救ったのは、ライリーを崇拝している少年ジェリー(ジャック・マヒュー)だった。ライリーに彼女を呼び戻すことを勧めに行ったジェリーは、路上でライリーの手下に銃殺される。少年の死骸はライリーの部屋へ運び込まれた。時を同じくして、路傍に倒れていたジョーンも医者に担き込まれる。医師は、中華街生活から脱することのみが、彼女を救う道であると告げる。ライリーの姿は、かくて永久に中華街から消えたのだった。

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