ある父の横顔
解説
ハロルド・シューメイトが書き下ろした原作を、「河床の毒蛾」に協力したフレッド・ニブロ・ジュニアとグレイス・ネヴィル及び「悪魔の影」を共作したリー・ローブと、シューメイトの四人が共同脚色。欧州映画界で活躍していたジョン・ブラームが、渡米第一回作品として監督に当たる。主演は「相寄る魂」「白衣の騎士」のオットー・クルーガー、「若草物語(1933)」「空飛ぶ音楽」のダグラス・モンゴメリー、「麗人野球団」のジャクリーン・ウェルズ。共演は「結婚気象台」のナナ・ブライアント、「麗人野球団」のジーン・モーガン、マーク・ローレンス、スタンリー・フィールズ等である。
1937年製作/アメリカ
原題または英題:Counsel for Crime
ストーリー
上院議員マドックス氏(サーストン・ホール)の養子ポール(ダグラス・モンゴメリー)は、法科大学を優等で卒業すると、直ちに有名な刑事弁護士ウィリアム・メロン(オットー・クルーガー)の法律事務所で働くことになった。実はポールはマドックス夫人(ナナ・ブライアント)とメロンとの間に生まれた子供であったが、夫人以外に誰もそれを知らなかった。入所以来ポールは、幾多の難問題を次々に解決するメロンの優秀さに驚く。しかもメロンの語るところによれば、彼は有罪と推察される事件には触れないとのことで、ポールは自分の勉強してきたことと、現実との大きな距離に驚くのだった。メロンはその上ギャングの殺人鬼を弁護して、多額の報酬を得ていた。ギャングのジョージ・エヴァンス(スタンリー・フィールズ)は仲間を殺害し、これを正当防衛として弁護をメロンに依頼する。メロンはこの不正を知りながら、報酬ゆえに依頼を引き受け、ポールを担当にする。ポールはエヴァンスを釈放した後にこの事実を知って激しく憤るが、胸を押さえてメロンを許す。かくてポールはメロンの勢力を背景に地方検事に当選するが、同時にメロンを始めとする不正弁護士の一掃に着手する。やがてメロンはマドックスの不身持を知り、ミッチェル(マーク・ローレンス)という悪漢を使って内情を探らせたところ、ポールが我が子であることを知る。しかもミッチェルはこれを種にメロンを脅し、メロンは誤ってミッチェルを殺害する。こうしてメロンはポールに起訴され、殺人罪に問われて終身刑に処せられた。マドックス夫人は一切の事情を夫に打ち明け、許しを乞うと共にメロンを獄舎に訪ね、上告して罪の真相を発表し、減刑されるように説く。しかしそうするとポールを社会的に葬ることになるからと、メロンは一切の秘密を己れと共に葬る決心を固め、夫人と涙の告別を交わすのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョン・ブラーム
- 脚色
- フレッド・ニブロ・Jr.
- グレイス・ネビル
- リー・ローブ
- 原作
- ハロルド・シューメイト
- 撮影
- ヘンリー・フロイリッヒ