アメリカの戦慄

劇場公開日:

解説

戦後の青少年犯罪の1面と、それをめぐる社会不安を追及した、「暴力教室」と同系統の作品。ドン・M・マンキーウィッツの原作を彼自身で脚色し、「黄金の賞品」のマーク・ロブソンが監督した。撮影は「悪人と美女」のロバート・サーティース、音楽はダニエル・アンフィシアトロフ。主な出演者は、「去り行く男」のグレン・フォード、「愛の泉」のドロシー・マクガイア、「顔役時代」のアーサー・ケネディ、「賄賂」のジョン・ホディアク、「スピードに命を賭ける男」のカティ・フラドー、「暴力教室」のラファエル・カンボスなど。「悪人と美女」のチャールズ・スクニー製作。

1955年製作/アメリカ
原題または英題:Trial
配給:MGM
劇場公開日:1956年4月11日

ストーリー

サン・ジュノ海岸で白人少女が暴行惨殺された。殺したのはメキシコ少年エンジェル(ラファエル・カンポス)である。州立大学の法学部助教授ブレイク(グレン・フォード)は法廷経験を得るためキャッスル(アーサー・ケネディ)の法律事務所で働くことになり、この少年の殺人事件を手がけることになった。ブレイクはキャッスルの一癖ありげな様子をむしろたのもしいと思っていた。キャスルはエンジェルの母親コンスレラ(カティ・フラドー)に留置場で会い、服従と信頼を強要した。彼はブレイクを主任弁護士にすると弁護資金を集めにニューヨークに行った。キャッスルの秘書アビイ(ドロシー・マクガイア)はブレイクの正義心にひかれ、2人は愛し合うようになった。裁判が始まると、発表される陪審員をブレイクはアビイに助けられて次々に忌避していった。裁判が終末休廷になった時、ブレイクはキャッスルに呼ばれ、弁護資金獲得運動応援のためにニューヨークへ行った。そこでブレイクは、キャッスルこそはコミュニストの集まりである全民党の指導者だと知った。キャッスルは人々が、少女を殺したのは有色のメキシコ人エンジェルだと騒いでいるのを知り、殉教者エンジェルを作り上げて資金の獲得に利用しようとしていた。ブレイクはその意図を不純と見て、それと闘う決心をした。サン・ジュノに帰ったブレイクはアビイもまた党のシンパであるのを知った。公判は再開された。少女の主治医は少女がリューマチ熱で暴行を受けなくも死ぬ危険にあったことを証言した。ブレイクの巧みな弁護は被告を有利にしたが、折しも帰って来たキャッスルはブレイクに代わって主任弁護士になった。全民党は少年を死刑にして党の殉教者に祭りあげようとしていたのでキャッスルは少年を証人台に立たせ、検事の詰問の前にさらした。陪審員の評決は有罪となった。判決の日、裁判長が死刑を宣告しようとした時ブレイクが入廷し発言を求めた。彼は今度の事件がキャッスルとその一味の謀略であると述べた。そして少年のために少年法を適用することを主張した。少年は州立勤労学園に収容されることになった。ブレイクにとり、この事件は立派な法廷経験となった。

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