彼の捕えし女
解説
「煩悩」と同じくジョージ・フィッツモーリス氏が監督したミルトン・シルス氏ドロシー・マッケール嬢共演映画で、ドン・バーン氏の原作を「ライラック・タイム」「トロイ情史」のケイリー・ウィルソン氏が脚色したものである。助演者ジョージ・フォーセット氏、グラッデン・ジェームズ氏等で、カメラは「トロイ情史」「煩悩」のリー・ガームズ氏が担当している。
1929年製作/アメリカ
原題または英題:His Captive Woman
ストーリー
殺人罪に問われて法廷にたっているアンナ・ジャンセンという女は人殺しをした者とも思えぬ殊勝な姿をしているが、7年前に情夫を殺した件で裁きを受けているのだった。数人の証人たちの陳述が終って彼女を逮捕した警官マッカーシーが証人席に着座した。華やかなニューヨークの酒場に舞う夜の胡蝶アンナは情夫の変心を嫉妬して射殺し、知合いの人の快走船に乗って南海の島に逃げわずかの間に島の人気女王となった。警察本部の命により敏腕で律儀なマッカーシーはアンナを逮捕に赴いたが、帰途暴風に遭って無人島に漂着した。アンナは幾度となく彼を誘惑しようと試みたがマッカーシーは職務を守って応じなかった。そして原始的な生活をしている間にアンナの性格は純情に返った。そしてアンナが大病に罹った時には全く悔悟して罪の裁きを受けに帰るために養生に勉めた。マッカーシーはサメに食われようとしてアンナに救われて彼女に感謝するとともに次第にアンナの純な心を知るようになった。そして救いの船が到底来そうもないと思った彼はアンナと結婚して孤島に生涯を送る決心をした。この新生はアンナを心から浄化し彼女は生れかわった女のようになった。そこへ汽船が現れた。マッカーシーはアンナを逮捕すべき任務を帯びている警官であるから早速合図の狼火のところへ駆けつけたが思わず点火するのを躊躇する。職責と愛慾との板挟みに悩む彼に点火せよと勤めたのは裁かるる身のアンナであった。法廷では陪審員は甦生したアンナを殺人犯とは考えられず評決を下しかねた。しかし裁判長はアンナを有罪と断じて終身禁固に処した。そしてアンナはマッカーシーと正式に結婚し、マッカーシーの監視のもとにかの南海の無人島に生涯を送れと名裁判官は命じたのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョージ・フィッツモーリス
- 脚色
- ケイリー・ウィルソン
- 原作
- ドン・バーン
- 撮影
- リー・ガームス
- 題字
- ポール・ペレス