フランス、幸せのメソッドのレビュー・感想・評価
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メイキング映像も素晴らしい
長年勤めた会社が倒産して職を失った中年の女性,家政婦の仕事を見つけたのは若い金持ちの証券トレーダーの家.この設定そのものが意外な展開を予想させますが,まさに「世間は狭かった」という話.
原題のように,富の分前(part)をテーマにした,社会派ドラマと言っていいでしょう.最後の,おかしな修羅場も,一つの誇張表現として許せます.
最近の日本映画には,このような鋭い社会性を持った映画はあるのでしょうか?韓流ドラマにはよくあるように思います.このような芸術分野の「文化資本」の格差が,市民運動や労働運動の内外格差につながっているような気がします.
原題は「私の取り分」というような意味でしょうか.邦題はかけ離れ過ぎ・・・いや,深読みすべきかも.
メイキング映像も実に素晴らしい。これだけで一つの映画作品になっています。昔、フランソワ・トリュフォーの「アメリカの夜」という作品がありましたが、あれは、いわばメイキング映像を作品にしたようなものですね。記憶は薄れていますが、完成度ではこれに匹敵するかと。
ブログにも書きました(ペガサス・ブログ版)。
何だこれ⁉️
何だかんだで、2回目の鑑賞👏
セドリック・クラピッシュ監督の得意技、ストーリーの劇的な展開😱
こんなオチ、よく考えたな👍
ラストのフランスの笑み😏
なんか怖い😅
ちなみに主人公フランス、仕事はパリ、住まいはダンケルク、という設定です👏
最後のフランスの行動を誰か説明して欲しい。 アルビンの誘拐を警察に...
最後のフランスの行動を誰か説明して欲しい。
アルビンの誘拐を警察に通報していいと言った上でダンケルクに来いとステファンに言ったということは、
フランスは自らの逮捕を覚悟の上で、倒産した工場の従業員達に対してステファンに謝らせたかったのだと
解釈したのです。
でも、実際に警察に逮捕されたときの意外そうな態度はなんだったのでしょう。
で、常々思うのだけれど、洋画では内容と関係性の薄い題名が付けられることが多々あります。
(それとも、日本文化の視点では分からないだけ?)
原題"Ma part du g?teau"。「私の分のケーキの一切れ」って感じ?
ケーキを分ける行為を家族の象徴としているのかなぁ?
これに対して邦題を考える日本の配給会社の苦労が偲ばれます...
超個人主義のフランス人の不思議
内容はゴリゴリの社会派ドラマです。
恋愛要素は少なめだし、
パリの美しい景色もないので、
それ目当てならパリジュテーム とか見たほうがいいかも…
三人の子持ちのシングルマザーと株取引で成功している冷酷な金持ち、少しづつお互いに惹かれいやがてというよくあるシンデレラストーリーですが完璧に裏切られます。邦題とパッケージでラブコメ感ありますが全然幸せのメソッドではなく労働者階級からの復讐劇です。
印象に残ったのは、娘三人とスーパーでジュース好きなだけ買っていいわよとダンスして幸せそうな一コマ、貧困層の彼女たちにとって
子守の収入一日100ユーロの手当ては高額です。最初45ユーロでも貰いすぎかしらと躊躇してたしね…
スーパーで好きなだけ食料品を買えるのが彼女達にとっての幸せはステファンには理解できないのです。
二つ目が序盤でモデルをナンパして、
ベネチアに自己所有の飛行機でデートするのですが完全にセックス目的で
モデルの子に一日目では寝ないの心が伴ってないといや!と言われ一気に不機嫌に心なにそれ?嫌々ゴンドラに乗って観光するのですがモデル置いて船降りて置いてくし…結局寝るんだけと目的果たしたらさくっと帰る酷さ、経営者とかにサイコパス多いと言いますがステファンは完全にそうですね、共感や人の心を推し量ることなんてしませんし気にしません彼にとって大事なのは自己愛と金、やれそうな美人にしか興味がないのです。
そんなステファンとフランスがやがて惹かれ合い寝るんですが
フランスがステファンのせいで工場が倒産したとして愕然とします。でも世間って狭いなくらいで申し訳ないとかそんな素振りもない、じゃ息子の面倒よろしく!っとさくっと行ってしまいます。
それでも職務を果たそうと公園に連れ出すんですが、ステファンが電話であの家政婦とヤッたよ中々良かったと友達と電話しているところをフランスは聞いてしまいます、多分これ聞いてなかったら誘拐なんてしなかったと思いますあくまで私見だけどね
そしてラスト息子を誘拐し地元に帰り、
ダンスの発表会の劇場で解雇された人たちと警察官と衝突します。
ママを助けたいと言う気持ちはわかるのですか、そのほかの人たちは基本関係がないのに、
一致団結して逮捕されたフランスを助けようとします。超個人主義なのにこれが正義となると一致団結する不思議なフランス人、シャルリーエブドを思い出します。一方ステファン解雇された人たちの憎悪を一身に受け暴行それ逃げ回りますとここで最後そんなステファンを見てフランスが笑って終わりと言うバットエンドなのです。
誰も幸せになってないし何も解決しないし格差のある2人は何も理解しあえず終わるのです。
改めて個人主義のフランス人が団結して富裕層や政府に立ち向かうイエローベストデモを思い出しました。この映画にはフランスのかかえる経済格差や失業率の高さをまざまざと見せつけられます。
パリに行った時、高級車にのりヴァンクリ買う富裕層とマクドの前にあるゴミ箱を漁り破棄されたバケットをバックしまう人を見ました。彼らは同じパリに居ましたが背景がまるで違います。移民も多く有色人種は清掃業や肉体労働系の仕事ばかりで、
ホワイトカラー高収入の仕事はグランドゼコール出の白人のみです。とても排他的で成り上がりは許されない階級社会です。美しい街ですがそれだけに影は濃くそれを知った上で観ると最後のフランスの笑みは胸にくるものがあります。
後味は悪い
タイトルから想像してハッピーエンドかと思っていたけど、全くそうではなかった。信頼を築き合ってきたはずだったが、事実を知ったフランスは彼を許せなかったんだろう。男が仕事のことしか考えてなくて、女の気持ちだけでなく人の気持ちをわからない自己中心的な奴でとても腹が立った。最後のフランスの笑顔はより後味が悪さを際立たせた。
クラピシュ好きはマスト! フランス映画の毒が好きな方もぜひ!
まず最初に書いておきたいこと、それは
「立場のちがう男女が、お互いを意識するなかで
それぞれの価値観を認めあうハートフルストーリー」
といったイメージがあるなら、それはまるでウソだということ。
(タイトルと、宣伝文句のせい? 自分もそういうふうに思っていましたが
いい意味で裏切られてとても快感です)
日本語タイトルがほんとに意味不明なものにされていますが
原題は「Ma Part du Gateau」、
「(ケーキのなかの)わたしの取りぶん」といった意味。
フランス映画らしい、そしてクラピシュ作品としては
「百貨店大百科」を想起させるような
「おいおいそれが結末かい!」というラスト数分です。
確かに、いやな後味であることに間違いはありませんが
「待ってました!」という感じです。これでこそだ。
だから「ああーいい話だったねえ」というような映画を求めているのであれば
見ないほうがよいと思われます。裏切られすぎて心を病むかもです。
社会の理不尽にハッピーエンドなんてねえんだよ、という皮肉と風刺を
おしゃれな雰囲気と時折挟み込まれる乾いた笑いで見せていく、のが
クラピシュ監督の流儀であり、この作品を鮮烈なものにしています。
主人公の女性の名前は、「フランス」。
勤務先の工場の倒産で失業を余儀なくされ、
イギリスの金融界で働くバリバリのエリート男の部屋で
家政婦のアルバイトをします。家族を養うために。
舞台設定からして皮肉たっぷり、フランスという国と
3児のシングルマザーで失業中の女性を重ねています。
そしてその「フランス」はグローバルビジネスにこき使われるポジション、
というわけです。
長編デビュー作である「百貨店大百科」のどんでん返しだけでなく、
「猫が行方不明」で、必死になって猫を探した功労者の
アラブくんが抱いた恋心を木っ端にしていたり。
「PARIS」では大学教授と生徒の恋がめちゃめちゃな結末を迎えたり。
とかく、「理想のほのぼのストーリー」のふりをしていて
途中で突き落とすような展開は、セドリック・クラピシュ監督の妙味でしょう。
そしてその突き落としは社会風刺によって裏打ちされている。
今回のこの映画は、見事なまでのクラピシュ節です。
そうとうに観る人を選ぶと思いますが
(ゆえに日本で劇場公開されなかったのでしょうが)
フランス映画ならではの風刺やシニシズムが好きな自分としては
久しぶりに観た痛快優良作品でありました。
ラストの、脇役たちによって行われるシュプレヒコールのような掛け声が
いろいろな方向から深く突き刺さりました。
文句なしの5。
社会派問題作品好きには良いのかも知れないが?
劇場公開作品ではないのだけれども、新作レンタルと言う事でレンタルして観たが、この作品は、セドリック・クラビッシュと言う人が監督で、私は以前「スパニッスアパートメント」しか彼の作品は観た事が無い為に、彼については余り知らないので、監督の他の作品との比較は出来ないのだが、ケン・ローチの様な社会派の作品を撮りたい監督らしいのだ。
フェリーニの「カビリアの夜」に影響を色濃く受けたと言う。
そんな彼の作品である本作は、私達が日々生活している社会の中で、様々な問題や、矛盾を抱えながら、生きている庶民の姿を描いて見せている。
日々の生活では、理不尽で報われずに、社会の底辺で、黙々と毎日汗まみれになって家族の生活を辛うじて維持している人々の声を、ほんの一握りの富裕層の人々との関わり逢いの中で起きた有る事件をきっかけに社会の矛盾と非道な人々の人間模様を焙り出すのだが、
私は、この「フランス、幸せのメソッド」と言う題名からイメージしてレンタルしたので、およそ幸せへのメソッドとは思えない、幸せからは程遠い物語だったので、観終わった後の後味の悪さが、丁度喉の奥に刺さって取り出せないチキンの骨が喉で痞えて、苦しいのに似て、心の中で引っかかって、重く圧し掛かり不快であった。監督自身は社会派コメディー映画の制作意図を持っていたと言う事だ。しかし、チャップリンの映画の様には笑えないのだ。映画の構成とか、カメラワークなどは、これと言って特別に面白く工夫されている様な新鮮味は感じられない作品であったのだが、ヨーロッパ映画ならではの、社会派一般作品とでも言うところだろうか?
しかし、この作品のラストは個人的には好きには成れない作品だった。
この物語の主人公のフランスは2人の娘を残して自殺未遂をする所から物語が始まるのだが、一命を取り留めた彼女は、娘達に激励され、娘達を故郷に残し、一人パリに出向き、家政婦としての職を得て、運良く富裕層の雇用主スティーブに気に入られ、仕事は順風満帆となるのだが、その彼こそが、自分達の以前働いていた会社を買収し、倒産に追い込んだ張本人だった事を知る。フランスは、初めはその気は無かったのだが、ちょっとした出来心から、スティーブの一人息子を思い余って誘拐してしまうのだ。
この様な、目に見える犯罪事件と、ネットのインサイダー取引による会社の買収などの、乗っ取り事件や倒産事件などは、中々事件の真相が明らかに成らない事から、事件として扱われる事が殆んど無いけrどの、しかし人々の生活を誰が壊したか分からない力で潰していってしまうので、何も社会的責任を問われる事も無く、本人も、自分の行いによって人々が死に追いやられている事実すら知る事が無いと言うこの、社会の理不尽な矛盾をユーモラスに描いていると言うが、ちっとも観ている私は、ユーモラスな笑いが全く出無い作品だ。しかもそればかりでは無く、この様な復讐劇は、単なる復讐で有り、正当化する余地を残してはいないのだ!
悪には悪でお返しをしていたなら、社会からの正義の種は全く消失してしまうのだ。映画でも、いや映画だからこそ、単なる復讐だけのリベンジは止めて欲しかった!
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