「老若男女観れる映画として意外とど真ん中な作品」永遠の0 しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
老若男女観れる映画として意外とど真ん中な作品
「SPACEBATTLESHIPヤマト」のアクションで最も足らない部分をきちんと反省して空中アクション、迎撃戦をきっちり見ごたえのあるアクションに仕上げてきたと思う。コックピット真正面からの絵やそこから背後にシフトする絵などとても興奮する。
VFXもちょっとぐらい詰めが甘い程度でほとんど気にならないぐらいのきれいな映像。
じいさん、ばあさんの呼べる戦争もの、大ヒットした原作でそれが表現でき、実際、多くのお客さんが見に行っている。まずはその部分を大きく評価。
原作通りなのかもしれないが、学徒を特攻要員に育て、その最後を見届けてきた宮部が憔悴しつくした結果、特攻を志願したのは、そんな苦しみから逃げ出したい、あるいは気がふれた、とのように見える展開。ラストの表情はヒロイックにも見えるが、上手く大石を騙せたので思い残すことはないという安堵の笑み、あるいはようやく苦しみから逃れられる喜びの表情、とも取れるかもしれない。
「永遠の0」とは「その答えは永遠に誰にもわからない」の意味なのか?原作を調べればわかることかな。
そのあたりのあいまいさが原作どおりなのか、演出によるものなのかわからないが、このあいまいさは結構好きだ。
またとってもわかりやすい部分もある。
大石に家族を託したのは、宮部が写真を見せた時、大石が妻に惚れた、と見て取れたからだろうし。
2時間30分程度の長さを飽きさせないのは、ミステリー仕立てのストーリーもあるが、時代を行き来する以外に、現代パートがかなり笑けるのも要因だと思う。
多くの人が気になるであろう、現代パートのこぞってオーバーアクトも、観客層を考慮すると、まあ、そんなところでよいのではないか。はっきり言って、全員オーバーアクトでやっていることぐらいは十分承知で演じているし、それをなんだかんだ言われるのも十分わかっていることだろう。それこそプロ。演出家もまあ、わかってやってるだろう。いいじゃないか。
じゃないと、お客さん、たくさん呼べないよ?
べたべたの感情表現、セリフ過多に対して、普段文句を言う人は、もうちょい大人になって、客をなめるな、ではなく、ありがとう、たくさん笑かしてもらって、と思いましょう。
本作、反戦映画かどうか、もまあ、お客さんが何を期待して見に行って、この大ヒットか、を考えればわかる。
空中戦かっこいい、岡田くんかっこいい、現代パートのオーバーアクト超おもしれえ(特にやくざと夏八木さん)、ラスト、三浦くんの前にゼロ戦が通って、ちょっとグっとくる。
それでいいでしょ?
2時間30分近く、きっちり飽きさせることなく、泣ける人にも優しく、絵的にドキドキする人にもそれなりに満足させ、邦画の伝統芸に酔いしれることができるのだから、それは素晴らしいことだ。
追記
その中でも特に岡田くん好演。控えめな口調の時とその時の敬語がとても素晴らしい。