「生きる意味、生き残る意義を教えてくれてありがとう」永遠の0 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
生きる意味、生き残る意義を教えてくれてありがとう
百田尚樹のベストセラー小説を、山崎貴監督&岡田准一主演で映画化した話題作。
相次ぐ絶賛の声、声、声…。
勿論期待しつつも、先日見た同じく絶賛の声が相次いだ「奇跡のリンゴ」が微妙だった事もあり、周囲に流されないぞ、という気持ちも持って、いざ鑑賞。
これは、良かった!
タッチは違うが、「男たちの大和」を見た時の感動が蘇ってきた。
ここ最近、漫画やアニメの実写化が多かった山崎監督にとっても会心作。
祖母の葬儀で、特攻で死んだ実の祖父の存在を知った弁護士を目指す青年・健太郎。祖父の事を調べ始めるが…。
前半は、戦友たちの証言で浮かび上がる祖父・宮部久蔵の人物像。
ほとんどが“臆病者”と批判するが、宮部を深く知る者の証言は違う。
死を選ぶ事が尊ばれた時代に、愛する妻と娘のもとに帰る事を願った男。部下に死よりも生を選ぶ事を教えてくれた男。
その人となりに胸が熱くなる。
後半は、誰よりも生き残る事を願った宮部が、何故特攻を選んだのか。
謎が明かされていく展開はさながらミステリータッチ(証言者の一人・田中ミンが凄みたっぷり)、その真相には胸締め付けられる。
こういう戦争映画のレビューでは、いつもくどいくらい書いているが、今戦争映画を作る意義は反戦映画である事。
そんな視点からでも、本作は好編だった。
愛する家族のもとに生きて帰る。それの何がいけない?
確かに当時の思想では軟弱だったかもしれない。
しかし、命を捧げた国が何をしてくれた? 自分が生き残らないで、誰が家族を守れる?
そして、特攻。
未来ある多くの若者たちの命を無駄に散らした作戦…いや、罪深く、悪名高い行い。
戦争自体、人を殺して賞賛される。
狂気の沙汰としか思えない。
自分は今の時代に生まれて良かったと思う。戦時中に生まれなくて良かったとも思う。
もし戦時中に生まれていたら徴兵されていた事だろう。軟弱者なので、死と隣り合わせの極限状態の中で絶望していただろう。
そんな時、宮部のような男と出会えていたら…?
生きる意味、生き残る意義を教えてくれて、ありがとう。
前半の健太郎の姿は、戦争を知らない、戦争に全く関心の無い、今をただ無意味に生きている若者たちの姿の代弁。
祖父の事を知るにつれ、健太郎は変わり始める。
若者たちは可能性を秘めている…そんなメッセージをも感じた。
今を生きる若者たちが、思いと物語を継いでいく。
近大さん、こんばんは。
素晴らしいレビューですね。
感動が、文字になり、言葉になる。
映画ファンとして有りたい形です。
最近スマホからの書き込みで短めが多いんです。
全く関係ないですが、ソー2を見たら興奮して
長々と書きそうです。
これからもレビュー楽しみにしています。