「僕らはみんな。」JAPAN IN A DAY ジャパン イン ア デイ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
僕らはみんな。
今作にたいして…じゃないんだけど、
最近こういった素人投稿動画で構成されるTV番組が多いのに驚く。
もう息子なんかは、それを手放しで面白がって観ているのだけど、
素人ならでは、偶然撮ってしまった驚き映像、など見様によっては
確かに面白いとは思うが、それをまんま番組にしてしまうっていう
制作側の怠慢(すいません嫌な言い方で)って、どうなんだろうなー
なんて、やたら素人でも思ってしまったりするところ。
何よ~もうTVも素人に頼らないと面白い番組すら作れないってコト?
なんて、ハッキリいって昔ながらのオバサン発言をしてしまう自分。
どうせどの番組を見たってつまらないじゃん。
だったら素人のリアルな映像を見た方が面白いと思うよ。
ははぁ~。なるほど。確かにバラエティがつまらなくなったのか…。
映画とドラマと深夜番組ばかりのオバサンには、含蓄あるお言葉。
で、この作品は、
“YouTube”がリドリー&トニー・スコット兄弟をプロデューサーに迎え、
世界中から“2010年7月24日”に撮られた映像を募り、それを1本の映画
にまとめた、2011年の「LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語」の
日本版として、企画されたドキュメンタリー映画。なのだそうだ。
かなり早い段階で劇場チラシを手にしてはいたが、あまり“YouTube”も
見ない私は、今作を観てからの方がいろいろ思うことが多かった。
あの大震災から一年後の3月11日。世界中の人がその日をどんな風に
過ごしていたか、寄せられた8000件の動画の中から繋いだ作品だった。
陽気に過ごす若者もいれば、震災に想いを馳せる人もいる。
無邪気に遊ぶ子供もいれば、カメラの前で泣き崩れる人もいる。
あの日がもたらした災害は、これからも日本人の心にずっとのしかかる
大きな心傷になると共に、数多くのメッセージを生む力にもなってきた。
人間っていうのは、いつもこうやって何かが起こってからやっと腰を上げ、
再発防止に取り組んだり原因究明に乗り出したりする(仕方ない)ものだが、
それを繰り返し繰り返し、やっと平静を取り戻した頃に、また次の何かが
やってくる。そうするとまたその筋の専門家が「すでにそうなることは」的な
発言をNHKあたりで堂々と披露したりする。ここ数年、ずっとそんな光景を
見てきたような気がする。あの事件も、あの災害も、あの当時はあんなに
大騒ぎして、もう今に日本がどうかなっちゃうんじゃないかと思うほどだった
のに、結局落ち着いちゃったよね。なんていう会話を何年後かに耳にする。
忘れちゃいけないことを、どうして忘れちゃうわけ?と思う自分がいる反面、
いや、そうはいっても、毎日を生きていかなきゃならないんだから。と、
それをずっと前面に抱えてはいられない現実もあるのは当然のことである。
忘れる訳じゃなく、心の奥にしまい込んだ。
そうやって前を向いて生きていかなければならないのが現実、
悲しみや苦しみという重圧に負けて倒れてしまう訳にはいかない。
様々な人々の其々の行動が映し出されたその日、一瞬だけ心がひとつに
向けられる時間。14時46分。だからこそ、その一瞬に呼び起こされるのだ。
テーマがテーマだけに、下らない映像ですら微笑ましく映るが、
多くの笑顔(中には必死の)が息衝いているリアルに心が温かくなってくる。
どんなに忙しくても、大変でも、辛くても、苦しくても、
一年に一度しかないその日に生きていることへの感謝ができますように。
(よく繋いであるけど手振れは凄い。そこがまたリアル映像ということなのね)