「ホワイトハウス版ダイハード」ホワイトハウス・ダウン arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
ホワイトハウス版ダイハード
ホワイトハウスがテロリストに占拠され、たまたま娘と見学に来ていた議会警察官のジョン・ケイルは娘共々人質になってしまう。
彼は大統領を、そして大統領を守ることが出来るのか?
監督はローランド・エメリッヒ。
この監督、今までずっと大味なハリウッド・ムービーの人だと決めつけていて全く作品をチェックしてこなかったのだが、『もうひとりのシェイクスピア』が思いの外良く出来た歴史エンターテイメントだったので、すっかり見直したのだ。
悪い時に悪い場所に居合わせたという典型的な巻き込まれ型、家族との関係が微妙、エリートではなく現場の叩き上げ警官、テロリストとの闘いの中でいつの間にかランニング姿という主人公ジョン・ケイルの設定からして、正しく「ホワイトハウス版ダイハード」。
しかし、劣化の一途を辿る本家シリーズの最近作と比べれば、こちらは余程良く出来ている。
こういう作品は悪役がショボいと作品全体のクオリティも落ちてしまうのだが、今作は
テロリストのリーダーであるジェームズ・ウッズとその黒幕である下院議長リチャード・ジェンキンスという悪役がまずいい。
テロリストのひとり元軍人の恨みをたっぷり溜めていそうな面構えのジェイソン・クラーク他テロリスト一味のキャラクター設定もしっかりしている。
そして、パパに負けず劣らず大活躍してくれる娘エミリーの大統領のファンで政治オタクというキャラクターもいいし、演じているジョーイ・キングもキュート。
これまた意外な活躍をしてくれるホワイトハウスとその歴史をこよなく愛するガイドのドニーなんていうキャラクターも実に効いている。
序盤のシーンや台詞に埋め込まれた伏線や布石がクライマックスで回収される展開も実にお見事。
下手すればパクリといわれても仕方ないような設定もやりようによっては素晴らしいエンタメ作品になるというお手本だと思う。
ラストで目出度く大統領の特別警護官に任命されたジョン・ケイル。
続編が出来てもおかしくないようなエンディングだが、チャニング・テイタムには『マジック・マイク』よりもこちらの続編をお願いしたいところだ。