「正統派にして最上級の巻き込まれ型アクション!」ホワイトハウス・ダウン 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
正統派にして最上級の巻き込まれ型アクション!
ローランド・エメリッヒ監督最新作は、
今や少なくなってきた、正統派のアクション超大作!
『エンド・オブ・ホワイトハウス』にお株を持ってかれた形では
あるが、shinematsuyamaさんも書かれてる通り、エンタメ
としてはこっちの方が面白いっす。断然こっち推しです、僕。
緊迫感や臨場感という点じゃ『エンド・オブ~』が上かと思うが、
あちらは『ホワイトハウス・ダウン』と比べると作りが
真っ当過ぎるというか、堅いというか。まあ好みはあるだろうけど。
(アントワン・フークア監督ってマジメな方なんだろうな)
それに今作の方が、ホワイトハウスが広くて見所満載の場所に見える。
隠し通路に地下に植物園にキッチンにプールに庭に屋根にと、
アクションシーンのバリエーションが圧倒的に豊富で飽きない。
ボンドカーも真っ青のリムジンチェイスや屋根での大激闘なんて
手に汗握るハチャメチャ具合だ。
キャラクターの掛け合いも楽しい。
主人公の警官ジョン・ケイル。
今までイマイチ影が薄いと思っていた
チャニング・テイタムが主役としての本領発揮!
人の良さそうな風貌とマッチョな体が役にピッタリ。
大統領ソイヤー。
毅然として行動力があり、家庭人という理想のリーダーだが、
(「そろそろ大統領に戻るよ」ってセリフ、いいね)
ガムくちゃくちゃ噛んだりロケットランチャー落としたり、
なんだかトボけてて良い。
そして第3の主人公と言っても良いのが、ジムの娘エミリー。[※名前間違ってたので修正。スミマセン]
いっぱしの傭兵相手に一歩も引かない。怯えながらも抜群の行動力!
最後の旗を振る姿には涙が出そうになった。
彼女が大統領をヒーローと慕う理由が、
『父親を戦場から戻してくれたから』という所も泣けます。
あ、ニコラス・ライト演じるガイド係もお忘れなく。壺、強ェ(笑)。
それにしてもジェームズ・ウッズ、老いたねえ。
彼の演じた悪役も好き。
序盤で妻に見せる憂いの表情や、なるべく無関係な人間を
巻き込まないようにしようとする気遣いが哀しい。
中東をまるごと核の炎で焼き付くそうとする狂気には戦慄したが、
彼はただ、息子の死を無駄死ににしたくなかっただけなんだよね。
他の敵も祖国に裏切られた人間ばかりという所がミソ。
指名手配リストで人員を集めるという皮肉なアイデアが良い。
復讐に燃える実働部隊リーダー、
フレディ・マーキュリーっぽい風貌のイカレ野郎、
『ダイハード』のテオを彷彿とさせる天才ハッカー、
やや弱いが敵もキャラ立ちが出来ていて楽しい。
戦争を食い物にする軍需産業連中が黒幕というのも、
なんだかんだで現実味がある気がする。
不満点を挙げるなら、大規模な爆破シーンですかねえ。
CGだと迫力半減。やっぱ本物の火薬でやって欲しかった。
エメリッヒ監督作ということで破壊シーンに期待し過ぎてたのもある。
あと、中盤~終盤前がやや中弛みして見えたのも残念かな。
そうそう、黒幕さんを観客にバラすタイミングが早すぎたのも
勿体無い。もっとタメても良かったんじゃないかと。
けれども、
『ダイ・ハード』を手本にしたアクション映画はワラワラあるが、
そんなアクション映画群の中でもかなり“本家”に近い面白さが
本作にはあるんじゃないかしら?
ナマミの人間が戦う正統派アクション映画としては、
5年に1度観られるかどうかくらいの快作だと思います。
判定4.25くらいが妥当かと思うが……他作の割を食って
売れなかったという同情票と、スカッとさせてもらった
お礼も込めて4.5判定!
〈2013.8.23鑑賞〉