「ほぼブラジル映画」ロボコップ よねさんの映画レビュー(感想・評価)
ほぼブラジル映画
オリジナルに対して最大の敬意を払いながらオリジナルでは完全に切り捨てられた(バーホーヴェン的にはどうでもよかった)家族愛をメインに据え、米国民が目を背けたくなるような社会風刺で締めた後にクラッシュのアノ歌を被せる、まるで『エリート・スクワッド』の3作目じゃないのかと錯覚するくらいにダークでシリアスな疑似ブラジル映画でした。同じくバーホーヴェン版では端折られていた、記憶とは何か、アイデンティティとは何か、どこまで肉体を失ったら自分は自分でなくなるのか、プログラムと自我の境目はどこか、といったSF的命題も散りばめられていて唸らされました。
確かにアクションシーンより会議のシーンの方が多いし、地味といえば地味でバーホーヴェン版に漲っていた狂気が全くないので地味といえば地味。しかしながらこんなに重たい映画を作る為に社会派のジョゼ・パジーリャ監督を抜擢し、きっちり氏の個性を発揮した作品を世に出したことは評価されてしかるべき。これだけの作品を作れたのはブラジルという国が日本では今ひとつ記憶に残っていない『巨獣特捜ジャスピオン』が大ヒットした国だということと大いに関係があると思います。
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