「超攻撃型スプラッタホラー! オリジナルには敵わないが佳作です。」死霊のはらわた 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
超攻撃型スプラッタホラー! オリジナルには敵わないが佳作です。
サム・ライミ監督の伝説的傑作を、ライミ自身のプロデュースの下リメイクした血みどろホラー。監督は新進気鋭、フェデ・アルバレス。
言うまでもなく、残酷描写や血がニガテな方は要注意!
表現をなるべくマイルドにする為にAC(公共広告機構)っぽく言うと、“ぽぽぽぽーん”(主に手足が)な描写満載。
釘やらノコやら注射針やら、見るからにヤバそうなツールが見るからに痛そうな使われ方をする。
特にカッターナイフは……ぬあー、痛い、痛たたたた……。思い出すだけでなんかもう顔ひきつりそう……。
さすがに30年分のハンディがある本作の方が、特殊効果はリアルだね。R18+指定はダテじゃない。
オリジナルにあったユーモアの要素はほぼ排除され、主人公らが小屋を訪れた動機も含めて、とにかく徹底したリアル路線で攻めている。
しかし不思議なことに――
笑える要素は無くなったはずなのに、映像から発せられる恐怖や狂気は、なぜかオリジナルの方が上だと感じる。
思うに、
オリジナルの死霊はまあ信じられないほどタフだが、こっちの死霊は1人を除いてずいぶんヤワな印象。
いや、それは肉体的な意味だけを指しているのではない。騙し討ちを仕掛け、心の柔らかい部分をねちねちと責める
邪悪さ、執念深さまで薄れてしまっている。あの狂ったようなパワーが減じてしまっている。
その分、主人公らが感じているだろう絶望感までもが薄れてしまっているように感じたのだ。
まあ煎じ詰めて言うと、暴れ方がまだまだ足りんのよ。
けど、本作にも良い点は多々ある。
元が傑作であればあるほどとかくリメイクは低い評価を受けがちなものだけど、
『13日の金曜日』『エルム街の悪夢』『ヒッチャー』などのどうにもヌルい出来のリメイクを思えば(どれも恐怖の“粘着性”がまるで足りない)、
こちらは気合いの入り方も単品としての出来も上々と言えるレベルじゃないかな。
実際本作は、オリジナル未見の人からしたらかなりの怖さだろうし、そのリアルなこと極まりない
“さよならいおん”(主に手足と)な描写は作り物であることをしばしば忘れてしまうほどだ。
それに、CG全盛のこのご時世に特撮オンリー、CG一切ナシを貫いた点だけでも「なんと見上げた心意気!」と
大目にみてあげたくなってしまう。
主人公が山小屋にやって来た理由は数多のスプラッタホラーより遥かに切実だし、兄妹や友人らの葛藤や愛情も、
物語を進める上で非常にうまく機能している。
サイレンの唸りが印象的なスコアや音響効果も忘れちゃいけない。ウルトラアグレッシブな良い仕事!
まだまだ無名の若手スター達も気合い入りまくりで◎。
オリジナルの展開を踏襲しつつも微妙にずらしている点も良いし、予想だにしないクライマックスだって待ち構えている。
そしてエンドロール後には……
オリジナル知らない方は「???」だろうけど、実にgroovy(イカした)なサプライズがあります。
一瞬ビクッとしてしまった自分が情けない(笑)。
判定3.75といったところだが、ちょっぴり甘めに見て4.0判定。あたしゃ満足だよ!
〈2013.5.11鑑賞〉