「彼等は何故海賊になったのか?」キャプテン・フィリップス arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
彼等は何故海賊になったのか?
実話ベースということで、事件の展開も結末も分かっているにも拘らず、フィリップス船長他貨物船の乗組員、止むを得ず海賊に身をやつしているソマリア人の若者達の運命から目が離せない。
前半は、貨物船乗組員と海賊の攻防、船長が人質になってからの後半は海賊とシールズの攻防。この2時間超の尺を全く緩むことなく緊張感を維持したポール・グリーングラスの手腕は流石。
名の知れたスターと言えるキャストは船長役のトム・ハンクスのみ(冒頭のシーンにしか登場しない船長の妻役のキャスリーン・キーナーは贅沢)というキャスティングも良かった。
そして、映画の緊張感を支えたのは、やはりソマリア人海賊を演じた四人だったと思う。
追い詰められた彼等の焦りや狂気、そして哀しみさえ表現していて見事だったと思う。
映画としての出来はともかくとして、これを観て考えなければならないのは、漁師だった彼等が何故海賊になったのか?海賊にでもならなければ生きていけないのか?ということだ。
根本には“貧困”があるが、その貧しさをもたらしたのは何なのか?
海洋汚染、国の崩壊をもたらしたのは何なのか?
確かに海賊行為は許されないが、靴も履いていない彼等に対しアメリカ海軍の強大さは異様に見えた。
アメリカに行くのが夢だと言っていたムセは皮肉な形でアメリカに渡ることになったが、今彼は何を思うのだろう?
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