「【フィリップス船長の漢気に心震わされ、ポール・グリーングラス監督が描くソマリア海賊のリアルな恐ろしさと海賊に走らざるを得ない海賊の姿及びソマリアの政治的背景に重い気持ちになった作品。】」キャプテン・フィリップス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【フィリップス船長の漢気に心震わされ、ポール・グリーングラス監督が描くソマリア海賊のリアルな恐ろしさと海賊に走らざるを得ない海賊の姿及びソマリアの政治的背景に重い気持ちになった作品。】
ー 冒頭、痩せこけた、たった4人のソマリア人海賊があっという間に高速船でマークス・アラバマ号に近づき、銃を持って乗っ取るシーンの緊迫感が凄い。ー
・4人を演じたキャストが皆、ソマリア系である事と、彼らと映画制作陣とのパンフレットに記載されていた対談も神妙に拝読した。
キャストの一人を演じた B・アブディの言葉”海賊行為は許されないが、彼らの生活背景は理解して欲しい・・”が、心に残る。
・ポール・グリーングラス監督の描き方が、(実話がベースだからかもしれないが、)ドキュメンタリータッチなのも、今作のリアリティ感を増していたかと思う。
・キャプテン・リチャード・フィリップスを演じたトム・ハンクスの、鼓舞した勇気とは裏腹に、死に対峙する恐れを表現した表情も素晴らしい。
・隠れていた乗員たちが海賊たちに決死の思いで反撃する姿や、大統領指示でネイビーシールズが出動し、海賊たちの隙を伺う姿。
海賊たちがアメリカの軍艦の威容を見上げた時の、絶望的な表情は忘れ難い・・。
ー アメリカの巨大な軍事力に抗う、自分たちの無力な姿・・。ー
<今作が見応えがあるのは、劈頭、ソマリア海賊たちの貧困生活シーンが描かれていることに加え、彼らを単純な”悪”として描いていない所であるのは間違いない。
ポール・グリーングラス監督始め、映画制作者たちのソマリアの過酷な政治的背景を盛り込んだ今作製作のスタンスに敬意を表したい作品である。>
<2013年11月30日 劇場にて鑑賞>
Seiko Noto様
レビューを上げられていないので、こちらにコメントバックします。
私は、今作が心に響くのは、現在の唾棄すべき米国大統領のような、弱者、弱国を睥睨する視点ではなく、ソマリアの”海賊”にならざるを得なかった人々の”必死”の心情もきちんと描いている所だと思います。
やせ細ったソマリアの海賊たちが、フィリップスを救助に来たアメリカの大艦隊を見上げた時の絶望と虚しさを露わにした表情は未だに覚えています・・。
キャプテンフィリップ鑑賞中、戦闘シーンに、手に汗を握り、散々泣いて疲れ果てました。言われもなく襲われ、命が危険なクルー達、襲いかかった祖国ソマリアが無政府・内乱状態のソマリア青年のセリフの一つ、「ニューヨークに行って車を買いたい、豊かな生活をしたい。」涙が止まりませんでした。たまたま生まれた祖国を愛し、守れるぬけるか。
たまたま日本に生まれ育ち、1994年夏から1996年夏までをアメリカ Maryland州Gaithersburgで多くの移民の方々とLibralyで机を並べて英語のお勉強をしてとても幸せだった思い出と共に。 Seiko Noto