「元相方への思い」ボクたちの交換日記 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
元相方への思い
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総合:75点 ( ストーリー:75点|キャスト:75点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
お調子者の人当たりのいい人気者だけど、いい加減で詰めの甘い役柄の小出恵介がいい出来だった。素人としては十分愉快なやつで根もいいやつだけど、ネタも作らず人の文句ばかり言う。この調子だと本職で芸人やっていくには難しいんじゃないかと思っていたら、やっぱりそうだった。日の目が出ないままに年月を重ね、これ以上に失敗することに怯え、才能不足を認めて夢と現実の境目をつける決断をするのは辛い。それでも自分の大切な人のために頑張る姿は悪くなかった。後で理由のわかる、ちょっと不自然な突然の解散も納得だったし、こういうことってあってもおかしくなさそう。
大きな飛躍の機会を掴みそうで掴めない。そして夢破れたあと、かつての相方の成功を見ながら、自分は元芸人として社会で生きていくしかない。それを受け入れて別の人生を歩む姿に哀愁があった。元相方がお互いをどう思っているのか、年月を越えての思いのたけをぶつけるのも良かった。
手紙のやりとりで物語を進める作品は過去にもあったが、交換日記という小道具を物語に取り入れ、その内容を読みあいながら進めるという演出は上手く機能していた。だけど、最後の癌のことで、海の見える丘の上というのは演出過剰でやりすぎ。
ネタも本物のようにやっていたし、ベッキー・竹山・ニッチェなんかが本人役で時々出てくるのが面白い。芸能界の裏事情と芸人崩れの様子も興味深い。
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