「犯人の記憶。」推理作家ポー 最期の5日間 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
犯人の記憶。
謎の死を遂げたといわれているエドガー・アラン・ポーの
最期の5日間を大胆な発想で描いたといわれる異色作。
もしも~…という設定に目新しさはなく、あるのはただただ
おどろおどろしい殺人手法とそのスプラッター具合である。
うわ~!(って観ちゃってから言っても仕方ないんだけど)
けっこう辛い場面があるので、苦手な方はご用心のほどを…
雰囲気としては殺人の不気味さがよく出ていたんだけど、
とってつけたような推理や「え?今どうやって?」のような
マジシャンかと思われるような誘拐手法など、どう考えても
あの時代にそれは…と思われる点が多いが、細かいことを
考えずに、怖~い!!と思って観るにはうってつけの作品。
原題「THE RAVEN」の如く、スクリーンに大鴉が何度も映るので、
その姿を観ているだけでもけっこう不気味。鴉には何の罪も
ないんだけど、やはり不吉感を醸し出すにはうってつけの鳥。
という訳で内容は、ポーの小説通り残虐な殺人事件が相次ぎ、
そこに気付いたフィールズ刑事が彼の周辺を捜査し始める…
といった内容で、ポーの恋人エミリーが犯人に誘拐されてしまう
あたりから一気に恐怖度と推理が深まっていく…。
いや~もう何と言いますか、内容如何よりも不気味な映像美。
そこに古典を感じるか?といわれると、う~ん…なんだけど^^;
面白いには面白いです。グロい描写を除けばね。。。
J・キューザック。ご本人ポー氏と風貌が似ているそうです。
この人演技面では文句なしに入り込むので巧い!そのあたりは
問題ないのですが、あとはもう彼の顔の好き好きですね(失礼)
私など当然(スイマセン)刑事のL・エヴァンスに観惚れてしまい、
お、脱いだ!いい身体だ~!!なんて違う方面に肩入れして。
何かこう、犯人像が分かってきたようで分からないイヤな展開、
閉じ込められたエミリーの息遣いには、こっちまで窒息しそう…。
タイムリミットが設けられた展開は巧かったかな。
ただねぇ、このミステリーの難点は…。その、犯人像ですかね。
いいですか、よーく顔を覚えておいてくださいませ。
けっこう暗い画面なんで、よーく観ておきましょう。
登場人物は少ないんで、あーこの中の誰かが犯人だな。とは、
想像がつくんですが、おそらく違う方向に犯人は存在してます。
よくこういう推理物って、エェっ!?と思う人物が犯人だったり
するじゃないですか。それはいいんですが、エェっ!と思える
ためには記憶に残っていないと…っていう、つまり、そこです^^;
心して観た方がいいかもしれません。
あんな昔に、よくあんな機械を揃えられたもんだよな~とか、
どの時間を使ってあんな仕掛けを仕上げてたんだ!?と鑑賞後の
謎が多い作品ですが^^;
ポー氏の最期…(何かここは悲しすぎるなぁ)とそこへ向かうまでの
迫真の演技(もちろんジョン・Cの)は、観応えあるかと思われます。
(江戸川乱歩の名前の由来を知ったのは子供の頃。巧いっ!と感心)