「映画時間。」そして友よ、静かに死ね おとっつぁんアルファさんの映画レビュー(感想・評価)
映画時間。
キャラクターが混乱しない。
現在と過去、更に今とこないだ、回想シーンまで錯綜するけれど、モモンとセルジュ、過去の役者と現在の役者が、ちゃんと一本線で繋がっている。
日本人が外国映画を観ると、ご贔屓の役者がいないと、どうしても同じ顔に見えてしまい混乱することがある。フランスの役者さんてみんな、雰囲気というか、匂いというか、顔で勝負、みたいなところを感じる。ギャングはギャングの顔、チンピラはチンピラの顔、警察は警察の顔、みたいな。それでいて、裏切り者は裏切り者の顔はしていない。
アメリカにもイギリスにも、日本でも無い。複雑な構成なのに、基本の物語は全くシンプル。男の、男だけの、熱い友情と、裏切り。この、渋さ。これってひょっとすると、映画的な時間の進み方を理解していないと、分からないかも知らない。これこそが、仏製フィルム・ノワールの真骨頂。もうひとつ言えば、これは実在の人物の自伝を元にした作品なので、大前提として、主人公は死なない、という、安心感はあったのかも知れない。
ただひとつ、瑕疵を言えば、邦題。なるほど、こういう題名を付けたいのは、わかるのだけれどもやっぱり、昔のアノ映画とダブってしまう。ちょっと勿体無い気はした。
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