「脚本は粗いが、敵役が怖くて良い」ファイヤー・ウィズ・ファイヤー 炎の誓い Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
脚本は粗いが、敵役が怖くて良い
総合:65点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
物語は粗くて良くない。犯人側に警察の情報はもれなく洩れ放題で主人公は次々に危機に陥るが、その情報漏洩についての部分は詳しく描写されない。本作品一番の大物俳優ブルース・ウィリスと敵が突然会う場面があって、もしかして今まで正義の警官をきどっていながらさっぱり活躍する様子がないこいつが裏切り者で通じていたのか、俄然面白くなってきたと思ったら、ただ会っただけで物語にさっぱり影響しない。そもそもブルース・ウィリスはずっと犯人を追っていて同僚も殺されてとそれらしい思わせぶりな前振りつきで登場しただけで、その後は殆ど活躍しなくて何しに出てきたのか。
そして主人公はただの消防士なのに兵士上がりの凶悪な犯罪者集団を相手に次々に勝ててしまうし、情報を簡単に手に入れて敵に迫れてしまう。建物に簡単に潜入出来て燃料をばら撒いて放火するけれど、こんな派手に燃料を撒けば臭いがきつくてすぐにばれますから。そんな燃料ばら撒いているところで敵は気が付かずにのんびりしているなんてことは起きるわけがない。そして彼女の居場所は燃え盛る大きな建物ですぐに見つかって救出出来てしまう。消防士としての能力が生かされているとはいえ、いかにも強引にその場面を脚本に入れて作りましたという無理矢理感がひしひしと伝わってきた。結末もこれだけのことをした主人公たちのその後もはっきりしない。
でもいい部分もあって、まずそれは敵役がかなり怖い事。普段の態度も怖くて本当にこんな人が暴力組織員だなと思えるし、主人公に電話をしてきて集めた情報を基に脅してくるのがなかなかの迫力だった。ただのチンピラではない、人を脅しなれた凶悪犯という存在感があって気に入った。
また物語の展開は早いし、脅迫と格闘と追跡と逃亡とで忙しくて緊迫感もあり、一気に退屈せず観られた。