「過激な世の訴え人、サシャ・バロン・コーエン!」ディクテーター 身元不明でニューヨーク 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
過激な世の訴え人、サシャ・バロン・コーエン!
「ボラット」「ブルーノ」に続く、サシャ・バロン・コーエンの過激コメディ第3弾。
今回コーエンが扮するのは、北アフリカのワディヤ共和国で暴君の限りを尽くす独裁者アラジーン。
国連に出席する為、アメリカを訪れるが、何者かに拉致され、トレードマークの髭を剃られ、アメリカの町に放り出されてしまう…!
感動も教訓も良識的なメッセージも無い、差別と偏見とお下品ネタと不謹慎ユーモアのオンパレードの、相変わらずのコーエン・ワールド!
冒頭で北の将軍様を偲び、9・11を笑いのネタにしたり、アメリカと中国の関係を皮肉ったりと容赦ナシ!
アラジーンを拉致した何者かは、反体制派の側近たち。ワディヤ共和国を民主化しようと動き出す。
アラジーンは祖国の独裁政権を守る為、民主化を阻止しようとする!
一般的には、民主化=善、独裁政権=悪のイメージだが、これを逆に描いているのが面白い所であり、コーエンらしい所。
かと言って、独裁政権を肯定している作品などでは決してない。
独裁政権万歳!…と謳いつつ、独裁政権を風刺する。
それは民主主義の象徴、アメリカの描き方も同じ。
映画の中でアメリカを“悪魔の巣窟”と皮肉るアラジーン。アメリカは現実に某国をそう呼び、自国の正義を訴えながらも、強大な軍事力で他国を圧する。
アメリカの正義と独裁政権は紙一重…?
民主主義も完璧ではない。
ラストの演説ではきっちりメッセージを込める。
サシャ・バロン・コーエンはいつだって、一切の偽善無く、過激に世を笑い飛ばし、訴える。
(アラジーンの部屋に飾ってあるアラジーンと寝た海外セレブの写真は、きっと本人の許可ナシなんだろうなぁ…(笑))
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