発情アニマルのレビュー・感想・評価
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レイプリベンジの先駆けムービー!
念願の「アイ・スピット・オン・ユア・グレイブ」アンソロジーBOXを手に入れることが出来たので、一気見にチャレンジです。
日曜日の朝から見る映画じゃないと思うけど、まぁ、いいか。
この作品に関しては、 30年以上のレンタル店通いのなかで、ジャケ写に見覚えがあるのに、「発情アニマル」というタイトルに違和感があったんです。ホラー大好きオヤジの記憶では、「悪魔のえじき」だったんだけど・・・。
何でも、映画公開時の1970年代には、「発情アニマル」のタイトルでポルノ映画扱いだったそうです。期待して観にいった人はビックリだったろうね。後半のリベンジ部分では退室者が続出したりして・・・。未成年だった自分には触れあう機会も無かったけど。
それが、ビデオ発売に当たって「悪魔のえじき」というタイトルになり、自分の行きつけのレンタル店では、ホラーの棚に置いてあったんです。スゴい印象的なジャケ写だったんだけど、結局見るに至らなかった珍しい作品でした。しばらくレンタル店から離れている間に「発情アニマル」のタイトルに戻ったみたいです。
さて、本編ですが、レイプシーンの悲惨さがホンッと凄まじい。
何度も襲い来る男たち。耳を覆いたくなる悲痛な悲鳴。傷だらけ、泥だらけに汚れていきながら、弱っていく女性を見事に演じきった女優。 いやー、凄かった。
この悲惨さが壮絶なだけに、後のリベンジによるスッキリが、大きくなるんだよね。
全体的に1970年代の画質の悪さが、リアル感を盛り上げている感じがする。
そして、全てを終えた彼女が運転するボートをバックにエンドロールが始まる。音楽無しってところがドキュメンタリーっぽくて、より一層のリアル感を出している気がする。
(評価はこの程度ですが)異様な生々しさのあるヤバい作品
避暑のためニューヨークから簡素な別荘を訪れたジェニファー・ヒルズ(カミール・キートン)。
女性向け雑誌に短編小説を書いている駆け出し作家。
今回の休暇で長編小説を書こうと意気込んでいるのだが、途中立ち寄ったガソリンスタンドで地元の男どもに目をつけられたのが運の尽き。
白い肌で、長い髪、知的で痩身のそのスタイルは田舎町では見かけないものだった。
男どもはスタンドのオーナーとその仲間ふたり、それに小さなスーパーマーケットで働くやや発達障害の傾向のあるマシューの4人。
彼らは、モーターボートを使って、川辺にあるジャニファーの別荘に向かい、彼女を凌辱した挙句、マシューにナイフで殺せと命じる。
が、気弱なマシューは殺すことは出来ず、失神している彼女が流している血をナイフに塗りたくり、殺したと報告する。
それから数日、別荘から一歩も出なかったジェニファー。
だが、彼らへの復讐を決意した彼女は、教会で神の赦しを得るのだった・・・
といった内容で、本作製作の前年に実際に起こった事件に着想を得た物語で、実際の事件のレイプ被害者の女性は裁判で無罪となった。
本事件は、全米で広く知られているようで、本作の予告編でも盛んに告知していました。
さて、映画の出来はというと、全編ロケの安手のプロダクションで、カット割りや演技など下手の極みの個所もいくつもあるのだけれど、カット割りができないが故の長回し、カメラを置く位置がないためのロングショットが即物的な効果をあげていて、異様な迫力があるシーンもあります。
特に場所を変えて20分近く続く凌辱シーンの最後、別荘の居間の床で放心・失神したジェニファーの姿が長々と映し出されたあたりは、背筋が凍る思いがします。
後半のリベンジ部分は意外とあっさりしているのだけれど、主犯格のスタンドオーナーの下腹部を切り裂いて放置のシーンや、残るふたりの仲間をモーターボートで追い詰めて惨殺するシーンは、前者は居間で聴くプッチーニのレコードの響き、後者はモーターボートのモーター音が情け容赦ない、非情の効果をあげています。
70年代後半は『ヒッチハイク』『ウイークエンド』など、同趣の作品がいくつか製作されましたが、異様な生々しさという点では本作が一枚上でしょう。
参考作品として、ウェス・クレイヴン初監督作品『鮮血の美学』(1972)をあげておきます。
東京12チャンネルはこういうのを昼枠でよくやってた
『白昼の暴行魔』とか、未公開の『白昼の暴行魔2』などもまぜこぜにして、ポルノ紛いの作品を連続的にやっていました。(後年、『鮮血の美学』のタイトルで公開されますが)
まあ、良く平気でやってたもんだと、大らかな時代でした。
局が大金叩いて超大作作品放送権を獲得した際には抱き合わせに、お目当て以外の多くの作品がくっ付いて来るので、「放送出来そうな作品は極力放送する」事になっていた事情も窺い知れます。
因みに、体当たり演技の主演のキートンは、かのバスター.・キートンの孫娘だそうな、
まさか『女の日』が、ポルノ館で公開されてた『発情アニマル』だったなんて、誰も気付きませんよね(笑)。
映画を観る側の目線(目的?)が違うと、全く違ったジャンルの作品と化してしまう、典型的な例と言えましょう。
ポルノ映画(我が国)であって女性のリベンジ物であり、またスプラッター映画のような要素も…..
色々な顔を持つ、なんか奇妙な作品です。
同系列の先行作品に76年の『リップスティック』、77年の『ウィークエンド』とかあるけど、加害者も多人数化したり被害者の復讐内容もより過激な描写になったりと、次第にエスカレートしていくのが特徴ですかね?
『リップスティック』の方は通常映画で、孫は孫でもヘミングウェイこ孫娘が主演で、『ウィークエンド』の方は基本的に成人映画扱いだったと思います。
タイトルと異なり意外と静かな展開
邦題のインパクトが強過ぎることで有名な作品。
内容は凌辱された女性が男たちに復讐を果たすシンプルなもの。
盛り立てていく演出はほとんどなく、グロテスクなシーンはないに等しい。
ただそういった控えめな感じが、淡々と復讐を果たしていく作品の質に貢献している。派手さが無くてもテーマで勝負できる好例だと思う。
男たとが女性を襲う理由も、田舎の退屈さとオスの本能が合わさって一種の憂さ晴らしな感じも評価できる。
あと何より主演女優が綺麗な点はいい。スタイルもスレンダーさが高嶺の花的な雰囲気を醸し出していて作品に合っている。
ただ警戒していた男たちが簡単に気を許したり、男たちの言葉(ヤリ終わっての感想など)が少し足りないといった点は勿体ない。
それでも個人的に観ても損はない作品だと思う。
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