「しっくり来るのかどうか」伏 鉄砲娘の捕物帳 なとやまさんの映画レビュー(感想・評価)
しっくり来るのかどうか
里見八犬伝を知らない人の感想ですが。
冒頭早々の説明部分、「猟師と獲物の間には互いの心に繋がりたいと言うおかしな絆が生まれる」で、少し違和感があって、話が進むにつれて?が大きくなってしまった。
追う者と追われる者のなんとなく引き合う関係、例えばルパンと銭形みたいのとかがあるけど、今回のは狩る者と狩られる者みたいな一方的に命を奪われる状態なわけで、これでお互いが繋がりたいというのは狩る側の身勝手な妄想に感じてしまう。
途中で「あいこにしてこい」という言葉があるのだけど、そのシーンではあいこでもいいのだけど、冒頭の通常の狩りの時はあいこにはなりえないし、それ以降で浜路が狩りをする時に考え方が変わったとしてもあいこにはできないしなぁ、とか(ちなみに本当の猟師さん達も何も考えず動物を殺戮しているわけではないし、狩りは狩りとして行動すれば良いと思うのですけど)。
おそらくこの設定が大前提でストーリーが進むので、ここで「なぜ?」が出てしまったために、物語に素直に入り込めなかった。
「繋がる」がポイントになっているのだと思うのだけど、途中、浜路と冥土が繋がったのは、なんというか「繋がる」の乱用のような気もしないでもなくて。
それとこれも大事だと思うのですけど、「伏」について。
こちらも序盤に「身も心も獣みたいだからって伏と呼ばれている」というセリフが出てくるのですけど、なんで「身も心も獣みたいだから」「伏と呼ばれ」るの?と思ってしまって、「伏」の感じの成り立ちまで調べてしまったけど、やっぱりわからなかった。
「人の横に犬」というのは面白いのだけど、上手い繋げ方が思いつかなくて、力業で進めたのかなとか。
もしかすると里見八犬伝を知っていると、わかるのかなぁ。
気持ちがのったら読んでみようかな。
初見で良さがわからずに、ところどころ見直してみたりして、やっぱり全体的には何か気になる映画ではあったと思います。
不思議な江戸時代も面白いし、charaさんのエンディングもよかったし。
キャラクターはなんだかクレヨンしんちゃんの映画で見たようなクニャクニャした動きで、これも個性的で面白かったです。
他の人も指摘していますが、どことなくカリオストロやハウルとかジブリ感もあるけれど、これでマネとか似ているとまでも言えない感じで、十分オリジナル感は感じられました。
全体的に雰囲気はよかったと思う。
もう少し?を感じずにいられたら、物語に入り込みやすかったと思います。