「色々ひっくるめて、良かった。」伏 鉄砲娘の捕物帳 h032さんの映画レビュー(感想・評価)
色々ひっくるめて、良かった。
伏を知ったきっかけは、何か別の映画を見に行った時に流れた予告。
カラフルな色彩、あらすじ、スタッフやキャストに惹かれて見に行きました。
まずキャラクター。
浜路やその兄道節、長屋の仲間たち。非常に個性的で魅力的なキャラクターがそろっています。
セリフや動きが面白く、吹き出す場面も。
そして何より、犬と人とのあいの子である伏の生き残り・信乃がとても魅力的に描かれています。
信乃が背負う伏の運命が彼を一層引き立てます。
美術も、色彩鮮やかでとてもきれいでした。
okamaさんによる素朴なタッチのキャラクターとマッチしていて美しかった。
演出も、なかなかおもしろくてよかったですね!
ただ、キャラクターのしぐさや画面の節々で、ジブリの「千と千尋の神隠し」を彷彿とさせます。
個人的には好きですが、気になる人はこれが気になるかもしれないですね。
内容は、とても惜しかった。
原作は未読ですが、きっと長く中身がぎゅっと詰まったものを映画という尺に収めようとしたのだろうということがうかがえました。
ただ、そのため説明不足の箇所が多く、何故将軍は巻物から剣を抜けたのか?
何故、結界?がはられたのか?
諸々説明不足です。
また、信乃と浜路が心を通わせていく様子をもう少し丁寧に描いてほしかった。
最後のシーンはいささか唐突すぎます。
キャラクターも美術も素晴らしいので、前編・後編でもして描ききるとよかったのにと非常に残念です。
ただ、何度も言いますが設定やストーリがとてもいいので、考察の余地を与えてくれるという意味では楽しませてくれる作品でした。
行間を読ませてくれるだけの情報は与えられるので、映画を観終わった後にここはあぁなんじゃないか、あれはあぁなんじゃないか・・・と考察するのが楽しかったです。(ニッチかもしれませんが)
その考察を確かめるために原作を読みたい!原作を見たら改めて映画を見たい!そんな気持ちにさせてくれる作品でした。
内容が惜しい作品なので、正直安直におすすめはできません。
ただ、キャラクターがそれを補って余りある。
ストーリー以外の要素を楽しめて、さらに考察も好きな方にはぜひ見ていただきたい作品です。