「信乃の立ち姿。」伏 鉄砲娘の捕物帳 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
信乃の立ち姿。
滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』をしっかり読んだ記憶はないが、
映画ファンからするとどうしても、薬師丸ひろ子の「里見八犬伝」の
印象が強い。JACメンバー出演のアクションエンターテインメントと
いうカッコいいイメージしか残っていなかったため、今作はどうも
ピンとこなかった。
とはいえ、大胆な脚色を経て贋作として作られた物語だそうなので
あ~なるほど…という感じではあった。
しかしどうも仮想空間の江戸、っていう^^;
(特に冥土のファッションとか)台詞回しも今ひとつ共感度に欠ける。
あまり時代性を考えず、独自の世界観に浸って観た方がいい作品
なんだろうと思う。
絵は綺麗だが、かなりゴチャゴチャしており、スピード感はあるが
其々のキャラへの感情が入りにくいところが難点。
じっくり見せよう…というタイプの(古いか)作品ではないみたいだ。
しかしチラシやポスターの信乃の立ち姿がとても魅力的。
粋で往なせなイメージが巧く絡んでいて、このキャラはとても
興味深かった。一応謎が含まれた話なんだろうけど、そもそもが
八犬伝!と銘打っているため、誰が「伏」なのかはほとんど分かる。
主人公の浜路(映画では岡田奈々だった)は一見男なのか女なのか
…という設定のようだが、どう見ても女の子!^^;と思いながらも、
彼女が江戸に出てきて兄の長屋に身を寄せ、様々な文化を吸収する
様子は観ていて面白かった。髪をバラン~と下ろした浜路はとても
愛らしく、いきなりここで浜路が女になったイメージすら抱かせる。
兄の手伝いで(一応立派な猟師という設定)伏退治に張切る浜路だが
最初に助けてくれた信乃のことが忘れられない。
その後、潜伏していた伏の正体が次々と判明していくのだが…。
「家族」「運命」という部分に焦点をあてると、
とても悲しく切ない話なので、なにが正義かとはいえない曖昧さが
残るが、信乃と浜路のラブストーリー(急に子供から大人になった気が)
のように展開する後半~ラストは、相手が犬だろうと人間だろうと共存
する道を探し求める戦いのような様相になる。
もはや敵はあの将軍・家定か?(これもまた堺雅人の顔が浮かんで困った)
狩る者と狩られる者の因果が、まさかああいう形になるとはねぇ…。
いちばん気になったのはCharaの声。
エンディングテーマもそうだが、このキャスティングが一番の謎。
(歌丸師匠はそのまんまの感じ^^;残りの声優陣も皆良かったのにねぇ)