劇場公開日 2014年1月10日

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「立ち位置がよく分かっている2人の漢!」大脱出 ケニーレギンスさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5立ち位置がよく分かっている2人の漢!

2014年1月11日
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鑑賞方法:映画館

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最初にこの映画の公開を聞いたとき、正直あまりノレなかった。なぜならエクスペンダブルズでスライ、シュワの2ショットは実現しているし、シュワの本格復帰1作品目でもないからだ(しかも復帰作ラストスタンドは快作だったと思う)。結局、このタイミングでW主演作を公開する理由が全くわからないままに公開日を迎え、不安を抱えながらの鑑賞となってしまった。
いや、マジでなめていてすいませんでした。
プロモーションではエクスペンダブルズ的なファンサービス映画の要素を全面に押し出していたのですっかりだまされていた。この作品はエクスペンダブルズのような豪華共演やファンサービスを楽しむ記念碑的な作品というものではなく再出発、つまりガチで映画としての面白さで勝負してきている。我々観客の方が遥かに遅れてて、あのオッサン達はとっくに次のステップに進んでいたのだ。
その証拠にこの映画の面白さの肝はデカい図体でチマチマしたことを積み重ねる部分にあって、2人の得意なド迫力アクションは最後まで温存しているのだ。老いを理由にアクションをあきらめないこの熱意。そしてそれを補う経験値とクレバーさに感服した。
そしてシュワとスライの役柄がまたよくできている。スライ演じる脱獄のプロは緻密に計算し、コツコツと積み上げていく孤高の男。生真面目故に騙されたり損するあたりがスライそのもの(笑)。
それに対しシュワ演じる囚人は身体的迫力はさることながら茶目っ気があり、口がよく回る。それでいてずる賢いというかなり自虐的なキャラクターになっている。両者ともが自分が周りからどう見られているかが分かっているし、それを受け入れる体に劣らぬ器のでかさが粋である。
そしてその2人が捕まる監獄が、非合法な上にそこに入れられた囚人は社会的に”いないこと”になるというのが面白い。まさに80’sなどにピークを迎えた筋肉アクション映画自体が21世紀の現代ではなかったかのようになりつつあることに真っ向から異議を唱えているようにも見える。
長々と述べてきたようにこの作品は過去の80’90’アクション映画作品を土台にしながらも、決して過去の栄光に甘んじることなく新時代の生身アクション映画へ挑戦している快作なのだ。
迷ってたり、ちょっとでも主演二人の世話になったことのある人間は今すぐ劇場にいけ!
やつらは過去にすがっちゃいない!いまでもいつまでも本気だ!
Never Give UP!

ケニーレギンス