大統領の料理人のレビュー・感想・評価
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大統領と言えど糖尿病になりゃ、料理人はお払い箱さ!
映画の初頭に南極フランス領と出て来るが、本来国際的に認められた領土と言えない。
しかし、アメリカ、ニュージーランド、チリ、イギリスとフランスが自国の領土だと主張する領土を南極に持っている。
勿論、日本の昭和基地は日本国の領土ではない。
さて。
助手になるパティシエがタバコを吸っているが、海原雄山なら、一発でクビになるね。
この女性も化粧が濃くて海原雄山に怒られるよ。
ニュージーランドのトリュフの宣伝映画だね♥
申し訳ないけど、トリュフよりも椎茸の方がうまい。
ファグラだったら、あん肝の方がうまい。但し、日本の近海はどうなんだろう。
追記
やはり、日本人にとっては、イタリア料理の方が合ってるね。
追追記
『ミシュラ◯』ってタイヤメーカーって知ってます?
最後の歌は
アラン・ドロンどダリダの『甘い囁き』だ。
お料理はまるで絵画のよう
家庭で料理を作っているのは母親が圧倒的なのに、レストランの厨房となると途端に男社会になるのは、たしかに不思議である。
そう、この映画のポイントは料理人が「女性」であるということ。男性社会の厨房からの嫌がらせももちろんある訳で、そこをどう切り抜けるかが腕の見せどころ。
お皿を通して交わされる大統領と女性シェフとのやり取りが観ていて微笑ましかった。最後まで残さず食べてもらうことで、作り手は安心するんだよなぁ。創意工夫の末に作られる料理の数々には、愛情と言うべきか、努力というべきか。彼女の母性さえを感じる。
文字だけで書かれている本のレシピを再現する技術とその美しさは感服もの。まるで絵画のようで、感嘆の溜め息が思わず漏れてしまう。
経費削減や大統領の体調不良のあたりから雲行きが怪しくなってきて、しりすぼみのラストには「あれ?」と思わざる得ないものの、その場を潔く去るのが女性シェフなりのケジメだったのかなとも思う。
前半部分のお料理やパティシエとのやり取りは観ていて楽しかったし、ラストの森林のシーンは美しく、全体的に映像美が際立っている作品だと思う。
この映画を見終わったあとは、自分へのご褒美ディナーを食べたくなるはず。
美味しそう
サクッと大統領のシェフを辞めてしまっているように見えたので、実際のところどうだったのか気になりました。
現在と回想のシーンが交互に出てきますが、分かりにくくて、ながら見をしていたので最初のところを何度も見返しました。
大統領と話しまくって大統領のスケジュールがどんどんシビアになっていくシーンが一番印象に残っています。
大統領が厨房に1人できて旬のトリュフとワインを楽しむシーンもよかった。
人生とはこういうものかもしれない
良い意味で、ネット上のレビューを信じてはいけないと思った映画の1本。
オルタンスが、大統領専属の料理人になった瞬間からその職を辞する時まで心を許せたのは大統領や助手をはじめ限られた人間だけ。
メイン厨房の人間は最初から終始敵対視され、大統領の周囲の人間も(最初から好意的であったわけではないけれど)食事療法や経費削減という名目でオルスタンスを敵対視し始め、ついには個性ある料理を大統領に振舞えなくなったことで敵達に向かう気力を無くしてしまい、その職を辞する決意をしてしまう。
せっかく大統領とは料理を通じて心が通じ合っていただけに、周囲にその絆を断ち切られていく様はとても心が痛い。
そんな彼女がそれまでとは全く異なる南極基地の料理人になり、そこでは周囲に認められ、しっかりとした居場所を築いている様にホッとする。
そんな南極を後にする前に、心からのもてなしの料理を仲間たちに振舞い、仲間から別れを惜しまれるシーンに心が温かくなる。
それでも彼女はそんな南極を後にし、前に進んでいく。
周囲が自分を理解してくれない状況でも自分らしさを忘れずに突き進むこと。
またそれに疲れたら全く別の環境に自らを置き、一呼吸して良いということ。
そして一呼吸を終えたらまた新たな道を探し、勇気を持って一歩踏み出すこと。
それが人生。
なんて感じてしまったり、また若い人たちにはきっと分からない心の機微を感じられるようになったのは私が歳をとったということなのか。
ある程度人生経験を積んだ人なら観て損はしない映画だと思う。
美味しそうな料理はいっぱいだけど…
最終的にシェフより大統領がかわいそうだった。
ご高齢の大統領だから周りが健康面を気にして意図していない動きをすることはあると思う。
でも料理本を暗記しちゃうような大統領には彼女の料理は必要だったから厨房にふらっと訪ねてきたんだろうにな。
しかも階段上がって行く姿…心配になるわよ!
昼食のキャンセルも体調が優れなかったらそんな日もあるだろうに。
もうちょっと大統領の美食を信じて、状況を汲んであげて欲しかった。
ソースだけでも。
公開時に観逃した作品が舞い戻ってきた。見るのも食べるのも
大好きな自分には夢のような作品。まさにフランス版料理天国。
ミッテラン大統領時代に2年間プライベートシェフを務めた女性
シェフの実話をモチーフに、よだれが落ちてくる料理がズラーリ。
料理中心の作品が美味しく描かれていないと怒る私も大絶賛!
素材からソース盛りつけに至るまでシンプル且つ大統領の好みを
反映させた料理のまぁ見事な出来栄え!ソースだけでも舐めたい。
しかし命題は、その栄誉ある仕事に疲れ果て、今は南極調査隊の
シェフとなった彼女の姿を追いながら、再出発を図る今後の野望を
丁寧に描く後半。料理人というよりも料理芸術家の域にいる彼女、
自分だけの料理を作りだすには自由に作れる環境が必要。という
ことが、悠々余生を目指すトリュフ畑に反映されているのも魅力。
人生の「トウガラシ」だ、分かるかね?
映画「大統領の料理人」(クリスチャン・バンサン監督)から。
フランスのミッテラン大統領に仕えた女性シェフの実話らしい。
彼女が男性社会の中で孤軍奮闘する姿は、拍手に値するが、
やはり「いじめ」は、精神的にイライラしていたようだ。
そんな時、彼女を是非と、仏官邸へ呼び寄せた仏大統領が、
自分も思うようにいかない国の政治で悩みながらも、
静かに彼女に声を掛けるシーンが印象的だった。
「最近、いじめられているな? 私もだ、逆境だよ。
だが、逆境だからこそ、私は頑張れる。
人生の『トウガラシ』だ、分かるかね?」と。
料理人の彼女は、頷いて「いい夜を・・」と返す。
この「逆境は、人生のトウガラシ」という表現が面白い。
それは、トウガラシだけでは辛いだけだが、料理によっては、
隠し味になったり、うま味を増す効果にもなる。
「いじめ」などの逆境も、長い人生に深みを与えるもの、
そう考えれば、この逆境もなんとか乗り切れるだろ?
そんな意味なんだろうと思うが、私の考えすぎだろうか。
分かり合える大人の会話だったなぁ。
P.S.
「デザートは『尼さんのおなら』(ペドノンノ)」はメモ対象。
私の住む町に「ペドノンノ」というケーキ屋さんがあるから。
そんな意味だったんだ、と可笑しくなった。
出てくる料理がとにかく美しい
料理が素晴らしかったです。
美しい!けど、気取ってんじゃなくておいしそう!
見るだけでわぁあ〜って声がもれるような料理ばかりでした。お腹減っちゃいます。
メニューを聞くだけでしあわせな気持ちになれますよ。
大統領もいいですねぇ。素敵な人柄で描かれていました。
気さくなおじいちゃま好きです。
で、ストーリーは勤め始めてから辞めるまでの話と
辞めたあとの主人公の話と同時進行で進んでいく訳なんですが、
素晴らしかった職場が段々と居心地の悪い場所になってしまう悲しさや
違う部署の人達との軋轢
その辺がとてもリアルでした…あるよね、こういうことってね。
あと、ルールを守ろうとして本来の栄養管理の仕方が全く分かってないくせにメニューに口出ししまくってくる医師(?)の女性が出てくるんですけど、
こんな人にメニューについてとやかくいわれるなら辞めちゃうなと…。
主人公のオルタンスには共感できます。笑
ただ、オルタンスにもちょっと改めなきゃいけない部分があるような気がする。
この実話は彼女の面から描かれているので、彼女の都合が良いようになってる所があるんじゃないかなと。
自分の農場使ったりするのも、流石に遠慮するべきだったろうし。
きっと本当に質の良いものだったんだろうけど。やはり自分の利益になりすぎていると駄目よね。
前半は仕事が充実しまくってて料理も美しいし素敵なんですが、
環境が変わってしまう後半に進むにつれて、少し苛々させられる所があります。
辞めた後のオルタンスが
とっても幸せそうに演出されてはいるんですが、やはり前半の華やかさと落差がどうしても感じられしまって、観た後ちょっとだけさみしくなりました。
いい映画だとは思いますが、ストーリーが好みでなかったので評価低めです。
実話だから仕方がないけど!笑
続きが気になる
とても良かった
が、完結した気になれず
彼女の将来がとても気になる作品だった
他のシェフたちが勝ったようなところや
大統領の励ましに応えられなかったところが
なにか悔しい気持ちになってしまった
彼女たちの戦う姿やくじけない心に感動した
お別れパーティのシーンはうるっときた
どんな状況にも真剣に前向きに生きることの強さ
よかったです、そしてこれが実話がベースになっているとしたら何てドラマティックな人生を送る人がいるんだろうと感嘆しました。
フランスの田舎町から突然エリゼ宮のお抱え料理人に…。訳は特に語られませんが(だれだれの紹介っていう程度)、そこで、一皿一皿丁寧に料理をし、大統領がおいしく食べたのか?食べ残しはなかったのか?大統領の好みはなにか?料理をする人なら食べる相手の気持ちを考えてするのが当たり前なのでしょうが、時間や効率に追われるこの時代で、こんな当たり前のことができていない中で、オルタンスの気配りと丹精をこめた料理(見ていておなかがすきました…)が人々を変えていく、そんな様がとても素敵だと思いました。大統領が分刻みの公務の間にオルタンスと10分の会談を設け、それが35分にも及んでしまうのは、大統領がオルタンスとの会話に人間としての会話を楽しんだからでしょう。
また、最初は頼りなかったニコラ(最初のシーンでたばこを吸っていましたが、料理人失格な感じが最初からでてました…)もオルタンスが「この料理少し甘くない?」という問いに対して、「いやこれでいいんだ、作られたお菓子ではなく、子供のころに食べたお菓子みたいだ」と返すシーン。オルタンスの姿勢が一人の人を変えたんだなぁとジーンときました。
オルタンスの戦いは、男のシェフの意地、食事を楽しむことを知らない、役所の担当者などさまざまにわたり、ついに大統領を楽しませることができなくなり挫折してしまいます。
直前に、突然大統領が真っ暗な厨房に訪ねてきて、「君はいじめられているんだね。わたしもだよ。ただ、逆境こそが人生のトウガラシだ」と言って励ますシーンも、料理を通してミッテランがオルタンスを信頼しているということがはっきりわかるシーンでよかったです。
物語自体は、オルタンスの現在=南極付近の研究基地での仕事と、過去=官邸料理人の仕事がクロスオーバーする形で進みますが、オルタンスが南極での最後の一日、仲間たちが盛大なパーティーを開き、蛍の光を歌うシーンは泣きました…。そして、なぜ南極まできたのか、次のステージに進むため、新たな地に挑戦しに行くためという最後には、突然、エリゼ宮に呼び出され、孤軍奮闘し、それでも失意のうちに辞めなくてはならなかった…そして、そこでも自分の人生をしっかり見据えて一生懸命頑張ってきた人の姿というのに、とても感動しました。
物語自体は派手でもなければ、無理に押し付ける形のものでもなく、内容もすんなり頭に入り、すっきり感動できた、そんな素敵な映画でした。
映画の後には旨いワインで、この作品を肴に飲みたくなる映画
最近では、朝夕は大分涼しくなって来た。いよいよ秋到来だ。そしてこの季節の大きな楽しみの一つは、美味しい料理である。
そう食欲の秋に相応しい映画と言えば、この「大統領の料理人」は正に極上のフレンチでした!
しかし、この作品のファーストシーンは、この題名からイメージすると、予想外の映像が映し出される。この画面が本題とどの様に繋がって行くのだろうか?と考えていると、画面がタイトルバックに代わると、田舎道を走行する車の空撮が続く。
本当に、こう言うドラマの入り方をされると、観客は自然と物語の奥深くへと興味が沸いて行くものだ。流石は映画文化発祥の国フランスである。巧いと舌を思わず巻く。
そして、この田舎道及び、豊な山々を囲む農場や草原などの自然の原風景こそが、その後の物語にも、重要な要素となって行く辺りは憎い演出だ。
更に続けて、この空撮を見せる事で、フランスと言えば、パリや、避暑地カンヌやニースなどの観光都市ばかりを想い浮かべてしまうものだが、そう言った観光の顔よりも、実はフランスは農業大国である事も自然に見えて来るのだ。
ちなみに、我が国の食料自給率は、2009年までの農林省の統計では大凡40%で有るのと比較して、こちらのフランスでは170%も確保されている、正真証明の農業大国である。
そんな、農業国であればこそ、豊富な食材と歴史が培ってきた文化の一つとして、美味なる伝統料理の数々が誕生をしたのも納得のいくところだ。
世界的にも、フランス料理の素晴らしさを知らない人はいない。そしてそのフレンチ料理界の中でも、最高峰の料理を結集させる所は?と言えば、勿論大統領の料理番となるだろう。
そんな、エリートシェフの仲間入りを急遽しなければならなくなった、ヒロインの葛藤と奮闘・努力の日々の様が淡々と描かれて行きます。正直決して、観ていて気持ちの良い状況ばかりではない、厳しい現実の男ばかりの料理界の中で、紅一点のオルタンスは大統領のお気に入りの料理を次々と調理し続けて行き、やがては、徐々に廻りの人々にも変化が、起こり始めると言う一種のサクセスストーリーの一つでもあります。
映画の中で紹介される料理の数々の綺麗で、実に美味しそうな画面には、思わず釘付けになりそうでした。
映画では、料理の香りとテイスティングが出来ないのが、唯一の難点でもありますが、フランスの家庭の素朴な料理に始まり、大統領の招待客の料理に至るまで、数々の料理を目で楽しむ事は充分出来る楽しさ一杯の映画です。
後半の急展開のテンポがやや気にはなるところでありますが、しかし、実際に、ミッテラン大統領時代にいた女性シェフの話をベースにこの物語は描かれたと言います。
そして、もしも貴方がご自分の仕事に不安を感じる事や、悩みがあるのなら、この作品のオルタンスを観たならば、元気は回復間違い無しだと信じて止まない、この秋一番美味しい映画でした!是非このスパイスの効いた映画をご堪能下さいね!満腹間違い無ですよ。
ほろ苦いフレンチです
フランスのフランソワ・ミッテラン大統領のプライベート・シェフとして1988年から2年間仕えたダニエル・デルプエシュの実話に基づく映画。映画化に際して、(もちろん大統領が不在の時ではあるが)実際のエリゼ宮でロケを実施した。
パンフレットから受ける印象としては、フランス大統領官邸初の女性シェフが、周囲と上手くやって、ハッピーエンディングと言う感じだったんですが、必ずしもそうではありません。むしろ、人生の苦い厳しさを感じる内容になっています。冷静に考えて見れば、周囲とも全てうまく行き、成功していたのであれば、2年という短期間で辞任するわけはありませんよね。
まぁ、そう言う人の嫌なところは置いておいて、オルタンスも大統領も、何ともチャーミング。そう言う所を重点的に描けないのが、実在の人物を描いた作品の辛い所。そう言えば、オルタンスは、チャーミングなだけではなく、バイタリティ溢れる人物でもあります。作品冒頭、いきなり南極地域の映像から始まった時は、何が起きたのかと思いました。2年で大統領官邸を辞任してから、南極観測隊の料理人として1年間、南極に居たんですね。凄い。
いやぁ、それにしても、フランス人の食事に掛ける意気込みは凄い。大統領官邸が食事にこだわるのは当たり前として、南極観測隊の食事も、「さすが美食の国フランス!」と言う様な料理ですからねぇ。実は、お昼前に見たんですが、お腹が減って仕方ありませんでした(笑)。
美味しいけど、ほろ苦い映画です。
派手ではないけれどじわりと感じさせるものはちゃんと感じられました。それは笑顔です。
フランス映画は往々にして、わざとドラマアップしないで終わる作品が多いので困ります。観客の見る目を選んでいるのです。こちらのような、奥深い表現に鈍感な人間は、この作品は何を語ろうとしているのか分からないと感じても、世の中の映画ファンには名作として評価されている場合が多いのです。
そんな一本であると断って、しばしレビューにお付き合いのほどを。
ミッテラン大統領のプライベートシェフを務めたダニエル・デルプシュの実話がもとになっています。
物語は、南極基地に向かう船上で、取材クルーが基地で調理を担当するスタッフを取材する風景から始まります。
取材対象に不満なクルーが、たまたま基地で見つけた女料理人が、オルタンスだったのです。聞けば彼女は、大統領の料理人だったということでビックリするという幕開け。
気に入らないのは、基地で働くオルタンスと4年前に大統領の料理人だったころが意味なくカットバックしあうことです。なぜ大統領の料理人を辞めたのか、そして今また1年間働いた基地を後にして新天地に向かうのか、肝心の彼女の真意のところは、観客の想像に任せてしまう手法なんですね。
もちろん、辞める理由らしきものは充分描かれます。また彼女の気性として研究熱心で、向上心の強さから、常に自ら新天地にチャレンジしていこうとする気構えも理解できるのです。、鈍感な映画ファンの自分は、盛り上がる感動場面とかはあまりなくて、坦々と描かれる本作のような作品は正直なところ苦手なんです。蛇足かもしれないけれど、主人公の決断の瞬間をキチンと描いて欲しかったのです。ええ、そりゃあグルメ映画だけにキッチンは、ちゃんと描かれてましたよ(^^ゞ
それと料理人に選ばれる過程も省略されています。フランスの片田舎で小さなレストランを営む普通のおばさんが、有名シェフのジョエル・ロブションの推薦で、突然エリゼ宮に招かれるという実話は、それだけでドラマだったはず。オルタンスの驚く顔が見たかったのに、省略されてしまいました。
でも、派手ではないけれどじわりと感じさせるものはちゃんと感じられました。それは笑顔です。基地でも、エリゼ宮でもオルタンスの作る料理は、味わう人を心から笑顔にさせるのです。それは、味わう人にこころから喜んでもらいたいと、相手の立場に立って作るから。そして味わう人の笑顔を見つめるオルタンスたち料理人も、賞賛の声に笑顔を勢ませるのです。
料理に関心のある人なら、「料理は誰の為にするのか」という問いかけが、ぐっと心に迫ってくる作品となることでしょう。
オルタンスの作る料理は、何もかもホワイトソースでくるんでしまう伝統的なフランス料理のイメージとはかけ離れた、豪快で素材を活かした料理。向こうのお袋の味とは、きっと素材の土の香りが伝わってくるような料理なんでしょう。
子供の頃から料理通だったというミッテラン大統領が、オルタンスのような女性の料理人を探し出したのも、分かる気がします。
後日なかなか会えなかった大統領とオルタンスは偶然接触して、料理談義が始まります。飛行機の時間を変更してまで盛り上がるまでに。大統領は子供のように目を輝かさせ、夢中で話こむ姿を見ていると、いかに大統領がおふくろの味に飢えていたかがよく理解できました。それにしても、子どもの頃の料理のレシピ本をまだ記憶していて、オルタンスに夢中に語りかける食いしん坊ぶりが実話なら、なんてミッテランという人は、気さくな人物だったのかと感じました。
ところで、オルタンスの魅力は、いつもすっと背筋を伸ばし颯爽と歩く姿勢にも表れている信念の強さにあると思います。同性の方なら、きっとかっこいいと感動されることでしょう。
彼女の信念は、素材にこだわりに尽きました。それを具現化すべく、奮闘します。自家菜園から取れたトリュフや自分が経営する農場とか取り寄せた豚肉や牛肉など美味しい料理を作るために産地指定で自ら食材調達まで行うのです。
けれども官僚社会である宮廷では、規律に縛られて働くオルタンスは、異端児でしかありませんでした。同性の方がもう一つかっこいいと感動することとして、彼女の男社会決して屈しない強さに憧れを感じることでしょう。
どんなに言われようが構わずに、彼女は、小さな別室の厨房でたった一人の助手と共に料理に励むのです。
けれどもそんな信念を打ち砕く、官僚側の締め付けが厳しくなっていきます。独自に拘った少量の食材調達はコスト高となり、財務担当から厳しくコスト削減を言い渡されます。さらに追い打ちを大統領に食事制限がかかり、使用食材を厳しく制限されてしまうのです。疲れ果てたオルタンスはかかとを疲労骨折してしまいます。
でも辛かったのは大統領も一緒。忍び足で厨房を尋ねた大統領を察して、オルタンスは大統領のために伝説のヴィンテージワインを開け、スライスしたトリュフをたっぷりのせたバゲットと共に差し出すのです。(ちなみに何気ないバゲットですが日本のホテルで同じものを注文すると6万円もするのです(^^ゞ)
まるで『釣りバカ』のワンシーンを見ているかのような、お茶目な大統領でした。
信念を持って新しいことに突き進む女性の気概がテーマの作品。きっとあなたも映画を見終わったとき、わたしも新しい何かに向かってやってやるわよ~って意気強くなれることでしょう。
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