「男社会に挑んだ“おふくろの味”」大統領の料理人 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
男社会に挑んだ“おふくろの味”
故郷で料理学校を設立、外国からの生徒も大勢受け入れ、料理の世界では確固たる地位を築いていたオルタンスは世界的に有名なシェフ、あのジョエル・ロブションに推薦され大統領と私的なゲストの為の専属の料理人に抜擢される。
しかし、大統領官邸エリゼ宮の主厨房はゴリゴリの男社会。
主厨房のシェフらは仕事を横取りされたという思いもあり、彼女を冷ややかに歓迎する。
彼女の味方は助手のパティシエニコラと給仕長のみ。多忙な大統領とは面会も叶わず、大統領がどんな料理を望んでいるかも分からない。
ようやく大統領との面会が叶い、大統領が素材の良さを活かした昔ながらのおふくろの味を望んでいるかをオルタンスが知り、本領を発揮、フランス各地の素材を使って大統領を喜ばせる展開は料理のビジュアルも手伝ってとても楽しいのだが、彼女が数々の壁にぶつかり、心身共に疲弊していく経緯についてはかなり駆け足で急ぎすぎてしまって、彼女が新たな道を切り開いていくラストに上手く繋がっていかない。
官邸時代のパートと南極基地でのパートが忙しなく切り替わるのも落ち着かなかったし、
南極基地のパートを削るか、もう少し尺を長くしても、挫折と再生を丁寧に描いて欲しかった。
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