劇場公開日 2013年9月7日

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「すばらしい」大統領の料理人 高知ネコさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0すばらしい

2013年9月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

知的

 泣けて仕方なかった。大統領がレシピの暗唱ができるほど、料理の本を愛することに、フランスという国のゆたかな文化がしのばれる。
 最も泣けたのは、大統領がこっそり厨房に行き、料理長にカリカリのパンにトリュフをのっけたのを食べさせて貰うシーン。まるで、食いしん坊の少年と、やさしい「おばあちゃん」のようだった。

 パンフレットさの他には、日本人にとってのお茶漬けの味と書いている人がいたが大間違い。この映画をみて、お茶漬けの食べたくなる人なんかいるだろうか。こよなく美味なトリュフや、ロワール産のニンジンのやわらかさがスクリーンからこぼれ、匂ってくるというのに。

 わたしは古い映画の「パペットの晩餐会」を想い出した。それほど人生をすばらしく思える映画だったからである。
 とびきりのフランス料理を食べたいと思うのはもちろんだが、自分でも珍しく料理がしたくなった。パンフレットには、サケの料理のレシピも出ているから、購入をおすすめする。
 ピカピカにお鍋をみがいて、だれかに美味しいものを食べさせたくなる、そんな映画である。

 またヒロインのいさぎよい生き方に賞賛を送る。脚本は巧み、美しいカメラに寄り添う美しい音楽。出逢えてよかった映画。

高知ネコ