「お料理はまるで絵画のよう」大統領の料理人 ローズマリーさんの映画レビュー(感想・評価)
お料理はまるで絵画のよう
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家庭で料理を作っているのは母親が圧倒的なのに、レストランの厨房となると途端に男社会になるのは、たしかに不思議である。
そう、この映画のポイントは料理人が「女性」であるということ。男性社会の厨房からの嫌がらせももちろんある訳で、そこをどう切り抜けるかが腕の見せどころ。
お皿を通して交わされる大統領と女性シェフとのやり取りが観ていて微笑ましかった。最後まで残さず食べてもらうことで、作り手は安心するんだよなぁ。創意工夫の末に作られる料理の数々には、愛情と言うべきか、努力というべきか。彼女の母性さえを感じる。
文字だけで書かれている本のレシピを再現する技術とその美しさは感服もの。まるで絵画のようで、感嘆の溜め息が思わず漏れてしまう。
経費削減や大統領の体調不良のあたりから雲行きが怪しくなってきて、しりすぼみのラストには「あれ?」と思わざる得ないものの、その場を潔く去るのが女性シェフなりのケジメだったのかなとも思う。
前半部分のお料理やパティシエとのやり取りは観ていて楽しかったし、ラストの森林のシーンは美しく、全体的に映像美が際立っている作品だと思う。
この映画を見終わったあとは、自分へのご褒美ディナーを食べたくなるはず。
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