「人生とはこういうものかもしれない」大統領の料理人 ぽんぱるさんの映画レビュー(感想・評価)
人生とはこういうものかもしれない
クリックして本文を読む
良い意味で、ネット上のレビューを信じてはいけないと思った映画の1本。
オルタンスが、大統領専属の料理人になった瞬間からその職を辞する時まで心を許せたのは大統領や助手をはじめ限られた人間だけ。
メイン厨房の人間は最初から終始敵対視され、大統領の周囲の人間も(最初から好意的であったわけではないけれど)食事療法や経費削減という名目でオルスタンスを敵対視し始め、ついには個性ある料理を大統領に振舞えなくなったことで敵達に向かう気力を無くしてしまい、その職を辞する決意をしてしまう。
せっかく大統領とは料理を通じて心が通じ合っていただけに、周囲にその絆を断ち切られていく様はとても心が痛い。
そんな彼女がそれまでとは全く異なる南極基地の料理人になり、そこでは周囲に認められ、しっかりとした居場所を築いている様にホッとする。
そんな南極を後にする前に、心からのもてなしの料理を仲間たちに振舞い、仲間から別れを惜しまれるシーンに心が温かくなる。
それでも彼女はそんな南極を後にし、前に進んでいく。
周囲が自分を理解してくれない状況でも自分らしさを忘れずに突き進むこと。
またそれに疲れたら全く別の環境に自らを置き、一呼吸して良いということ。
そして一呼吸を終えたらまた新たな道を探し、勇気を持って一歩踏み出すこと。
それが人生。
なんて感じてしまったり、また若い人たちにはきっと分からない心の機微を感じられるようになったのは私が歳をとったということなのか。
ある程度人生経験を積んだ人なら観て損はしない映画だと思う。
コメントする