劇場公開日 2013年9月7日

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「栄光よりも、なお大切なものを求めて……。」大統領の料理人 お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0栄光よりも、なお大切なものを求めて……。

2020年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

フランス大統領じきじきに専属料理人として招聘された主人公。
彼女がどうして選考されたのか……という辺の説明は、ほとんどありません。
料理人として一流の彼女が、数年後には、南極で越冬隊のむさ苦しい連中のために料理を作り続けているのはなぜでしょうか。
やはり、答えは説明されません。

大統領官邸と南極と。
映画では、この両極端のキッチン風景が交互に映し出されます。

いくつかの示唆を、自分で読み解く必要がある、けして易しくはない映画です。

しかしその両方に共通するのが、シズル感あふれる美味そうな料理の数々。

この人は凄い料理人ですなどと一言もいわずとも、映像の力によって「凄い料理の腕だ」と感じさせられるのが、映画の力というものでしょう。
昼飯前に行ったものだから、もうお腹が鳴って鳴って大変でした。
観る方は、ぜひ食事を済ませてから行くことをお勧めします。

望まざる栄光を得ながらも、その栄光をあっさりと捨て、自ら望む幸せこそを掴もうとする、底抜けに強い主人公。

もらった幸運に乗っかるのではなく、自分の道は自分で切り開こうと頑張る姿に、これこそがフランス精神なんだな、と思ったのでした。

お水汲み当番