「たったこれだけのこと?」ローマ法王の休日 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
たったこれだけのこと?
クリックして本文を読む
総合50点 ( ストーリー:50点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
枢機卿みんながローマ法王になるのを嫌がるのは驚いた。十億人の信者の頂点に立つのは重大な責任を背負うことではあるのはわかるが、それほどに嫌なのだろうか。何が嫌なのだろうか。もちろん嫌なこともたくさんあるのだろうが、長年神に仕えてきた枢機卿ともなれば、やりがいもまたたくさんあるのではないか。
法王にはたくさんの暗殺疑惑があるなどの黒い歴史も有名だが、それを恐れているのではないように見える。主人公含めてみんながただただ法王にはなりたくないでは、法王になるということへの凄まじい重圧がわからないままに物語が進んでしまい、彼の逃避行にも取り残された気分になるし、結末にも理由が見えなかった。
喜劇として笑えるほどではないし、皮肉がきいていて唸らされるというほどでもないし、物語にすっきりとするわけでもない。精神科医はじめとするその他大勢が無責任に球技で遊んでいる間に、法王になるという誰もが嫌がる地位を一人だけが押し付けられて悩み続けるという展開にするには、この地位は権力も義務も強すぎて重すぎるのだ。
それなのにこのキリスト教徒にとっての一大事を通して、わかったのはただ彼が重圧に弱い芝居好きな小市民だったということだけ。えっ、これだけで終わりなの? それが率直な感想。
コメントする