それでも、愛してるのレビュー・感想・評価
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私にはこの映画を支持する理由がある
おとぎ話をおとぎ話にまとめず、リアルな現実に引き戻した力業の脚本
特殊効果を使えば、「TED」のようにもできたのに、左手のビーバーが勝手に喋るのではなく、ウォルターも喋っているので、ファンタジーを期待する観客に「これは辛うじてリアルをキープしているんだよ」と分からせる
まるで現実に起きた出来事かのように簡潔に、かつエモーショナルに進行
メルの素晴らしい演技
鏡を使った演技は「スパイダーマン」のウィレム・デフォー
自分の左手と戦う「死霊のはらわた」ジム・キャンベルを彷彿
子供との掛け合いは「顔をなくした天使」の雰囲気そのまま
叫び声は拷問を受けるマーティン・リッグス
「マーベリック」の名コンビ再び。ジョディとメル…ま、前回は軽妙なコメディだったが
ジョディはLGBTを公言しつつメルと激しいベッドシーン、やはりエロティックさは感じない
ジョディ監督としてはメルに指示を出したのか自由にやらせたのか
ジェニファー・ローレンスの子役キャリア時代やはり光るものがある
アントン・イェルチンがティーンエイジャーを好演
うつを患った父親は仕事と左手を失い家族との絆を取り返したかのようだ
ゴーストライター稼業を糾弾された息子は痛いしっぺ返しに合うが本当の理解者を得たようだ
兄を失った才媛の美人は皮肉に満ちたスピーチを披露し何かを吹っ切れたようだ
見守るしか手立てのなかった母親はひとときの安らぎを得たようだ
2016.4.3
ビーバー
自分の気持ちを代弁しているはずのビーバーが、いつの間にか自分とは別の独立した存在になる様子は、
腕を切断するという方法で、ビーバーから逃げ出したが、それにはやはり家族の存在が大きかった。
ジェニファー・ローレンスは闇を抱えた役がハマってる!
クマのぬいぐるみじゃないよ、ビーバー人形だよ
鬱病を患った玩具会社社長ウォルター。そんな彼を救ったのは、ビーバー人形だった…。
まず主人公を、メル・ギブソンが演じているのが意外。
タフなイメージのあるメルが、鬱に苦しみ、家族や人生に悩む主人公を繊細に演じる。
ひとえにジョディ・フォスターの采配もある。
メルがあの発言でハリウッドから干された時もメルを擁護し、今回監督として(妻役も兼任)、メルから新たな一面を引き出した。
持つべきものは友。
ビーバー人形に救われてから、片時も人形を離さないウォルター。
ちなみにこの映画はファンタジーではない。喋るクマのぬいぐるみの映画みたいに、人形に命が宿っている訳じゃない。
腹話術のように喋る…と言うより、ウォルターが人形を介して、自身を代弁するのだ。
なかなか変な感じもするが、誰にだって自分の本心を言えない時がある。そういう時、代弁して貰った経験もある筈。ウォルターの場合、それがたまたまビーバー人形なだけ。
(人形片手に喋るメルが何だか可愛らしい)
ビーバー人形を手にしてから、鬱も克服し、仕事も復帰、家族との関係も良好。全てが良い方向に。
…ところが見ていたら、妙な違和感を感じた。
まさかジョディ・フォスターが、毒にも薬にもならないファミリー・ムービーを作る訳がない。
もしそうであっても、展開は淡々としているし、何処か冷たさを感じる作風。
予感は的中した。終盤、思わぬ展開へ。
シビアでもある。ドキリともする。
ありのままの自分で居る事、それを受け入れる事は、苦しいかもしれない。
しかし、一番身近に居る家族は、“アナタ”で居て欲しいと願う。
その時こそ本当の意味で、人形を手離す事が出来るのだ。
それにしても、この邦題は…。
原題の“ビーバー”のままでいいと思う。
家族が頼れなかったからビーバーに頼った
全体的に照明は暗く、薄寒い雰囲気が漂っています。
明るい意味を持つシーンでも、病的な雰囲気に見える。
青が強い画面。
主人公はゴミ捨て場でビーバーの人形を拾います。彼は、ビーバーに依存するしかなかった。
だって家族は大鬱病をわずらう主人公の世話に飽きてしまって、
家族まで憂鬱になってしまったので『だったら部屋を分けましょう、住む所を分けましょう』ってんで別居します。見放されたようなものです。
別居先に移った主人公は、自殺未遂を繰り返して酒におぼれる。
見放された自分に絶望して、ぼろぼろになって泣きながら。
家族にはもう頼れない、と実感した主人公はひとつの光明を見つけ出します。それがビーバーです。
『人と会話する際にはビーバーを通す』と決めます。腹話術師のように常に人形を帯同する。ビーバーという薄い膜を自分の周りに張りました。社会と直接接しなくてもよくなった主人公は、すこし気が楽になります。ビーバーはとても役に立ち、鬱病になる前のように明るく人と話すことが出来るようになった。ビーバーによって元気になったのです。
ここまでなら、まるでおとぎ話のようですね。しかし、それでハッピーエンドとはいかなかった。
ぬいぐるみに依存する大人は周囲から当然ですが、奇異の眼で見られる。元気になった主人公に喜んでいた妻も、『ビーバーを捨ててほしい』と願います。家族が望むならば……と一端主人公はビーバーと離れようとするのですが……
しかし、ビーバーが突然反抗!まるでビーバーは意志を持った別の人格のように主人公をなじる。
「自分一人で生きていくことが出来るのか?」と。
どうやってもビーバーと離れられない。ビーバーと不可分になっていた主人公は、ついに決断。身を持ってビーバーを切り捨てる。
ビーバーに依存させたのは家族なのに、家族の願いからビーバーを捨てさせる。
う~んこの畜生。
ビーバーに恐怖が湧いてくる
鬱病の会社社長ウォルターが、ごみ箱から拾ったビーバーのパペットを着けたとたん…。ジョディ・フォスター監督、2011年の作品です。
なにしろビーバーなりきり男の話。まるっと収まるファミリー物と思ってたら、とんでもなかったです。かなりの重量級、メル・ギブソンが凄いです。
あたかも命を持つかのように振る舞うビーバーにジワジワと恐怖がわいてきました。自分を受け入れることは難しい、でもそれしか無い、本当に。
熱を帯びた息苦しくなるような展開にもイガイガした気分にならなかったのは、主人公の妻も演じているジョディ・フォスター監督の冷んやりした気配が作品を包み込んでいたおかげかな。いつも素敵だなあと思います。
アントン・イェルチンとジェニファー・ローレンスもさすが、繊細で良かったです。
スクリーン右上のマークを見てハッとしました。フィルムの上映観るの、久々な気がして。
メルギブ、頑張ってる。
J・フォスターが当時のメルギブに手を差し伸べたといわれる作品。
マペットのビーバー片手に喋りまくる彼の動きが秀逸で楽しめるが、
テーマは鬱と人格障害を併せ持つ夫の壊れゆく様と家族の葛藤が
メインで心底重い。今を時めくJ・ローレンスが同じような複雑キャラ
で登場するのが一興。メルギブが映画に愛されていることを再確認。
このラストに救われます!
こんな撮り方が有るのだ!特にテクニカルで珍しい撮影方法では無いのだが、それでいてこの鬱病になってしまったウォルターのこの表情をパっと見せつけるのにとても印象的で、深く脳裏に焼き付くファーストシーンが巧いと感じた!
そして、またラストシーンの終わり方がしんみりと静かに幕を引くようで、感動的で良い映画だった。
ただ、邦題がこの『それでも、愛してる』と言うのが、何か感じが悪いのだ。
あたかも、病気で苦しみ病んでいる家族の一員を愛する事がその家族にとっては特別な事でも有る様な印象を受ける。
「病気なのに、それでも私達は、この病人を愛しています!」と声高に偉そうに主張しているイメージが付きまとって、このタイトルでは、いささか不利な気がしたのだが?どうなのだろうか?
精神を病んでしまう病気の場合は、治療時間をとても長く必要とする事に加え、その患者の本当の苦しみが家族であっても、病気の当事者ではなく、他者であるために、その苦しみを理解する事が困難な事が多い。
その為に尚更、病人と家族の溝は深く大きく広がって行ってしまうのだ。
理屈では分かっていても、お互い非情な疲労過多に陥り苦しむ事になる。そしてその事に対してお互い罪悪感をも抱くようになって行くので、八方塞がりとは、こう言う患者と暮す人々との生活環境を言うのだろうとつくづくこの作品を観て思うのだ。
メル・ギブソン演じるウォルターは自分の本心を打ち明けられない苦しみをビバー人形を借りて、腹話術の様にして人形の口を借りて少しずつ自分の本心を話していくのだが、これを理解して容認して行く事が、更なる困難を生んで行く。
過去を捨て去り、本音で再出発を望むウォルターと、過去の元気で楽しかった日々を取り戻したいと願う妻メレディスの真逆な気持ちの行き違いを繊細に描き出していくのだ。
そしてまた長男のポーターを演じるアントン・イエルチンが丁度ティーンの反抗期と合い間って多感な年頃の姿を見事に演じている。そして彼の彼女を演じているのが、「ハンガーゲーム」に抜擢されたジェニファー・ローレンスだが、彼女の熱演も見所の一つであるし、
次男を「一枚のめぐり逢い」での名子役のR・トーマス・スチュワートがまたしても最高の芝居をご披露してくれるのだ。
思えば、この作品の監督であるジョディー・フォスターも名子役でありました!
この人は非常に生真面目で、努力家であり、その才能は小さな彼女の全身から滲み溢れ出しているのだが、それだけにエキセントリックに成り過ぎてしまう気がしなくもない!少しばかり、話しが堅過ぎて疲れて来る気がしないでもないのだが、こうしてこの作品を観てみると、やはり家族には、助けられ、家族とは非常に有り難い存在である事を再度、実感させられるのだ。貴方も家族と鍋でも囲んで楽しく観られると良いかもしれません!!
何時の日か必ずお互いを理解し合えると言う希望が持てる秀作だ!
家族って大切。
うつ病でどんどん崩れていく夫。
しかし、奥さんはどうにかして家族の絆を取り戻そうと努力します。
うつとか、病気は患者本人しかわからないことが多いですよね。
過去を捨ててうつを克服したい夫、過去の幸せな家族を取り戻したくて過去を思い出して欲しいと思っている奥さん、病気は難しい。
家族の絆を取り戻すべくいろいろな過程がありますが、ラストに父息子が抱き合う姿は泣けました。
それにしても、テイタムオニールやクリスティマクニコルとか、まだまだ伸びそうな子役達はきれいにいなくなり、ジョディは素晴らしく成長して大女優になりましたね。一本一本の作品が毎回楽しみです。
やさしい光
この作品は、たぶん、自分が何か障害を抱えている側か、
そうでないかで、
評価もまっぷたつにわかれる気がします。。
この映画を、是非 おすすめしたい 理由としては、
映画の中の「痛み」を、再生し、助けてゆく光のようなものが、
現実には 存在しづらいと思うからです。
やはり、自分が健康で問題がなければ、
(なんのペイバックもなしに)他人に手を貸している暇などないのが現代です。
だからこそ、ジョディがそっとプレゼントしてくれたこの作品が、
何人かの心を、そっと救うと思います☆=
カットわり、セリフまわしなど、どれをとっても申し分ないです。
ジョディは やっぱり 本物の女性です m--m
これぐらい愛されれば
アメリカで観ました。
ジュディ・フォスター氏の聡明振りが遺憾無く発揮されているのが第一です。
これほどリアルで賢い人はやはり
年齢を重ねると美しくなるのだと納得できます。
若い女優そっちのけで画面を印象付けています。
元々は美人系ではないはずの人がこれほど美しくなるとは
是非、日本の、世界の
外見の美だけのために食事制限するような浅はかな美から
抜け出す愛を見つけてほしいものです。
見る価値有り。
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