「酷評が多いが実はしっかり作りこまれています。」悪の教典 miyathin71さんの映画レビュー(感想・評価)
酷評が多いが実はしっかり作りこまれています。
原作読了。序章は観ていません。
伊藤英明氏のハスミン役はイメージ通りでした。
惜しむらくは……
ハスミンが生徒達や他の教師に絶大なる信頼を得ているシーンが少ないことと、
実は何度も失敗を犯しているのに、それを補正しているというシーンが理解されていないところです。
映画版だけでも伏線は沢山張られています。
両親から人間性不適格と判断され警察に通報されそうになったので両親を殺害。
しかも自分の背中をナイフで刺すことで強盗の仕業にし、無罪になっています。
前任の高校でも全て自殺で処理され犯行はバレていません。
現在の高校で過去を探っている人間は全て殺害に成功します。
タデを殺害したことがバレそうになり、ミヤを自殺に見せかけようとしたところ、ミヤを探しに来た女子生徒に見つかってしまいます。
やむを得ず殺害しますが、すぐ弱みを握っている美術教師に責任を押し付けて自分は無罪になる計画を立てます。
この流れを理解していないと、ただの殺戮映画になってしまいます。
生徒を殺すのが目的ではなく、それはあくまで手段なのです。
楽しんで殺しているのではなく、全員殺さないと無罪にならないのです。
2人が生き残っていたときも、まだ誤魔化せると判断したはずですが、
AEDに音声が残っていたためどうやっても誤魔化しきれないと判断し、
神の啓示発言に計画を変更します。
殺人を犯しても精神異常であれば「無罪」になります。
また未成年であれば「減刑」になります。
無期懲役でも模範囚人であれば20年もあれば出所できます。
そういったことへのアンチテーゼがこの映画のテーマだと考えます。
to be continuedと出るため続編があるのではと推測されますが、
そういう意味で表記しているのではなく、
ハスミンのゲームは終了していないよ。という暗示だと思います。
こんな人間いないからこんな映画は許せないと判断される人も多いと思いますが、
罪を犯してもなんとか誤魔化せると思っている人は、
いずれはハスミンみたいになるかもしれませんよ。
追記
「モリタート」はビッグバンドで流すのは悪趣味でした。
クラシックであればもう少し印象がよかったかもしれません。