劇場公開日 2013年1月12日

「日本の宝!」映画 鈴木先生 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5日本の宝!

2012年12月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 教育というテーマにがっつり向き合った武富賢治さんの原作はずっと読んでいて、原作の時点で素晴らしいマンガであった。しかしテレビドラマは見ていなかった。テレビドラマを飛ばしていきなり映画を見たのだが、原作を読んでいたお陰かすんなり馴染む事ができた。

 もし自分が作者だったらと置き換えて見た場合、教育というテーマに取り組もうという発想がまずないし、手をつけるとしても変にチャカすような表現になってしまうだろう。物事の根幹を見据えて、問題の根っこから掘り起こすような追及の仕方が凄まじい。武富さんに、連載中お会いすると、顔中が帯状疱疹でとても辛そうだった。

 そこまでして仕上がった作品をテレビや映画にするという皆さんは、その姿勢から原作の精神を読み取っていたようで素晴らしいお仕事ぶり! お話がまず腰が抜けるほど面白いし、表現のセンスも面白く、美術から演技から演出から、撮影などなどありとあらゆる部分にまできちんと神経が行き届いた、本当に素晴らしい作品に仕上がっていた。作品としての世界がリアルに感じられるものになっていた。

 また、テーマが素晴らしく、同調圧力をきちんと筋の通った言葉や行動で跳ね返そうという本当に大切なメッセージがこもっていて感動した。

 日本の宝として、日本人にみんな見て欲しいし、外国に自慢したい!

吉泉知彦