劇場公開日 2012年4月28日

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「ホアキンのキャリアで最も長く、徹底された役作り」容疑者、ホアキン・フェニックス ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ホアキンのキャリアで最も長く、徹底された役作り

2017年6月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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悲しい

つくづく奇妙で奇天烈な俳優だ。我々が想像していた通りの、いやそれ以上に問題の多い俳優であることが、このドキュメンタリー風の映像から痛いほど伝わってくる。がしかし、結論から言うと、ホアキンの「俳優やめます」宣言から続く空白の2年間を追った本作は、どうやら全てフェイクらしいのだった。俳優をやめ、下手くそなラッパーになるため関係者を頼ったり、プロや客に才能をけなされ、それでもめげずに夢を追いかけようとする彼。フェイクといえばそれまでだが、しかし人前で歌う姿は実際に撮影したものだし、変人ぶりのままTV番組に出演し、マスコミの取材を受けたのもまた事実。次第に我々にはその境界線がわからなくなり、彼の生々しい台詞にはいくらか「本音」も含まれているように思えてくる。これぞ「事実」と「虚構」の絶妙な溝。これは怪優ホアキンのキャリア中、最も長期にわたる役作りを映し取った劇映画として、今後さらに見る価値を増し続けることになりそうだ。

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牛津厚信