天使のたまごのレビュー・感想・評価
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正確
やばすぎがち
人間の内側にある世界をその人間の外側にいる人間として最前で見つめて踏み入って逃げまわるみたいなことをしたことがあるんだけど、それだった
あれをほとんど言葉なしでここまで表現できるもんなんやってまじで普通に感心しちゃった、映画見ないんで知らないですけどすごい人なんですよね多分作者さん
前情報ゼロだったんで何がどう展開していくんだろって思いながら眺めてたところ、あー少女の内側にある迷宮におれもきちゃったじゃんってなる。頭がおかしくなりそうな、普通にうるさすぎてまじでちょっとイラついちゃう大袈裟な音楽とかSEは、当人のなかで本当に鳴り響いているもので、いたたまれない、可哀想、おれに何ができる、外側の私には永久に寄り添いきれないやつ、実際見ててイラつきがきちゃったわけやし、ある程度距離があると可能かもだけど近くにいると、ね、おれも迷宮入りしちゃってるんだし
なにせ目的地というより行き先が未明な高速鉄道に乗せられる感覚
おれが実際に踏み入ったことのある世界はこんな荒廃一色じゃなくて、もっとふつーに最寄り駅があって商店街もスーパーも賑わってちょっと都心にいけばきらびやかなものから全て揃う日常的な景色もあったけど、この映画にはそれがなくて、でも[無い]ということが当人の切なところなわけで、そういう意味では迷宮を正確に描いているねーーー。
あの子の内側のすべてが正確やったなー
魚を仕留めようとしてる奴らが投げた槍で窓と街灯ぶっ壊れていくのまじでその通り過ぎてやばいよ、迷宮をお抱えになられてるみなさんはあのシーンほんまにキツかったんちゃうかな
あとそいつらに男の姿が目に入ってないのもね
男のキャラデザも絶妙でいい、ずっと向かって右側の前髪の生え際あたりについてる水色の何かがずっと引っかかる感じとか
Dolbyもまじ素晴らしかった
天野喜孝の絵が動く
その美しさをただ堪能する映画。押井守が自身の著書「メカフィリア」でいうには、「潮のみちひきを繰り返し、循環し続ける世界は子宮。少女が守る卵は処女性の象徴、街が抱く巨大な卵は卵子。そこに侵入してくる少年は彼女を外界へと開く【男性】そのもの。戦車の大砲はペニス、白い鳥の羽は射精」というようなことを言っていた。そういうお話だと思う。そこへノアの箱舟の神話、鳥と天使のイメージを重ねて荘厳に幻想的に演出してくれるのがよい。
少年が少女を信頼させ、武器で卵を突き破るシーンはまさに破瓜。世界をぶち破られたことに気づいた少女の絶叫は凄まじい。少女は彼を追って水中に落ち、水中から現れた【大人の女の姿の自分】と入れ替わって、水底へ沈んでゆく。そして旅立ち。
「卵は割ってみなければ、中に何があるか分からないものだよ。」少年のセリフが印象的だ。その通り、閉ざされた世界は大切だし、守り続けることも大切だが、いつかは破られ、開国しなければならない。
それも無理やりではだめだけど、強引さも必要なのである。難しいね。
こういう4Kリマスターを待っていた。
天使のたまごのDVDを持っており
それと比べると明らかに高精細になり、細かいところがクッキリ見えるようになった。
音響もグレードアップしておりかなり迫力があった。
テレビ画面と映画館という違いはありますが、
DVDと比べると別物のクオリティになっている。
いままで、ブルーレイへのリマスター化作品を観てきた中で、かなり高精細化が成功した作品だと思う。
リマスター技術も進化してるのだろう。
この映画は、やはり、解説が欲しいですね。
ウィキペディアで、あの目玉の物体は、人工太陽と知って、なになに?どういうこと?
さらになりますが、
どういう世界線?
あの少女と少年は、何千年、何万年、
まわりが化石だらけになるほど、そこにいる、
世界線なんだろう。
最後はノアの方舟の転覆した船底?
おいおい、マジか、
深堀りするといろいろ出て来そうです。
音が怖かった
映像はとても素晴らしいけど、とにかく音が怖かった。結局何だったんだと思うけど、少しだけキリストを学んだ自分にとってはなんかとってもしっくりくるところもあった(個人的な意見ですが)気がする。
再会と再生
少年と少女は誓いを交わした。
鐘がなる。
少年は少女の卵=(心)を断罪する。
それは愛の暴力であるが、少女にとっては救世主とも言えるかもしれない。
少年も痛みを背負って生きていく。
手と十字架。
強い傾倒心からは、人は成長できない。
大人になれない身体は、本物を産めない。
大人になれた少女は、天使を産めた。
少女は、元々天使であったのだ。
少女は、自身の再会と共に去る。
天使を探していた少年は、出逢えたのだ。
真っ直ぐに十字架、痛みを抱え生きていく。
少年少女に関わらず、
人は成長しなければ、真実と向き合わなければ、
本物は生み出せない。
自分の天使、本来の自分を手に入れられない。
欲望についての話に見えた
すげぇー!押井守は40年前から押井守だったんだな。
ってか、よくこの企画が通ったよな。明らかにアート系。
他の人の考察を何も見ずに最初の印象のストーリー。多分こんな話だったんだろう、という自分解釈の考察、あらすじ。
[あらすじ]
デカい目の不気味な像が宙に浮いています。デカい目に見えてますがよく見ると人型の石像の集合体。大きな剣を持った男がそれを眺めてます。
その石像から遠く離れた廃墟にたまごを大切に温めている女の子がいました。水が好きで大きいボトルに入れてごくごく飲みます。森にいるとなんか不安。あと食うものがないので街に行ってジャムみたいのを盗んで食べます。街は荒廃していて人がいません。
噴水に人がいた!と思いきや漁師軍団でした。女の子は怖くなって逃げます。
すげぇ不気味な戦車がギュルギュル音をたててゾロゾロやってきました。戦車から剣を持った男が降りてきます。
剣持ち男がついてきて女の子は逃げますが先回りされました。しかも「大切なたまごは自分のお腹にしまって」とたまごを盗んだ上で偉そうに言います。女の子はたまごを取り返しました。
漁師軍団は街を泳ぐ影の魚を追います。しかしいくらモリを投げても捕まえられず。窓を壊すばかりです。女の子は「いもしない魚を追ってる」と呆れ顔。
男は昔話をします。大雨で洪水が起きて人も動物もほぼ死んだ。生き残った人が大きな鳥を飛ばして世界を再現しようとしました。
男はこの昔話の鳥を探していました。
警戒心を持っていた女の子はだんだん男に心を開いていき自分が寝ていた場所に案内します。
そこは石になった大きな鳥がいた場所でした。女の子は大きな鳥のたまごを自分があたためているんだみたいなことを言います。
女の子はベッドに寝ました。男は焚き火をたいて見張ります。どうしよっかなー女の子寝たかなーと黙っていた男。ふいに動いて剣でたまごを割りました。
女の子が目を覚ますとたまごが割れていました。たまごの中はカラでした。女の子は発狂して叫びます。
女の子は男を追って走りますが崖から落ちて川に沈みました。沈む瞬間に大人の女性になり泡から沢山のたまごができて川に浮かびます。たまごは木にも沢山できました。
そして女の子はデカい目の像の一部になってしまいました。死んで墓ができたのです。
それを見て男は「女の子も結局無いものを守り続けて、しかもそれが割れただけで発狂して死んじまったなあ」とむなしく思います。
この世界では欲深い魂の人間が死ぬたびにカラのたまごができるのです。
これが「天使のたまご」です。無駄にでかいたまごがそこら中にできて男は次々と割らないとならないのです。
カメラがどんどんひいていき鳥の視点になります。大きな鳥は今もはるか彼方の大空から見下ろしているのです。欲深い人の業を眺めながら。
[あらすじ終了]
個人的には人間の欲望の話に見えた。
そもそもあらすじをわざわざ考える必要がある、というのがすごいよな。全然分かりやすくない。
他の人の考察も見たがなんか全然違うことを言っているので自分は的外れなことをのせている可能性もある。
この映画はきっとこんな話だったんじゃないか?とあれこれ解釈して楽しむ系のもの。押井守監督自身もインタビューでそんな感じのことを話していた。
押井守監督はこういう感じのが多くて『イノセンス』や『スカイ・クロラ』あたりもこんな感じで何なら『ガルム・ウォーズ』もこんな雰囲気があった。
やりたいことはそういう意味では明確。分かりやすい映画ばかりが映画じゃ無いよな?!こういうのもあっていいっしょ!という姿勢が既にこんな前からあったのはやはり只者じゃないよな。こんなチャレンジングな企画が許される時点ですごいわ。
今回、音響がいいドルビーで観たら、戦車がギュルギュルギュルいって動く音がうるさいのよ。そんな音を轟音で聞きたくないわ、と。しかしこの体験こそ、映画館の醍醐味。
全然万人にすすめられるものではないけど、こういう作品も劇場で公開できる、何なら結構客が入っている、というのはいいことなんだろう。日本のアニメ文化の文化たる所以。
タイトルなし(ネタバレ)
40年越しの宿題を終えるために劇場に行きましたが、寝てしまいました。
ビューティフルドリーマーで押井守に魅了され、
紅い眼鏡も嗜んでいましたが
それでも、何が何だかわかりませんでした。
帰宅してウィキペディアを読んでなるほどと思いましたが、
もう一度見ようとは思いませんでした。
でも、難解な作品であることはわかっていたことで、
それも含めての作品鑑賞だと思い、今は満足しています。
こういう気持ちを味わうためなら予習なしに行くべき。
でも、予習していくのも悪くないと思う。
あわや寝落ち
少女は鳥の卵って言ってたような。
最後の引きで、世界自体が方舟で、少女の世界が真っ暗で、飛行物が着陸したのが明るい世界と分かる。
引きこもりの少女の魂を卵を割ることで現実へ引き戻す。十字架背負った少年が神か天使なんじゃないかと感じた。
少女は絶望から身を投げて大人の女性へ。
救われた魂は飛行物へ乗って天界へ。
と勝手に理解しました。
あなたも、わたしも、すでに全くの自由を持っている。
この作品の最大の特徴は、登場する全ての存在に”名前”がない事である。
そして、そのような作品は、この作品を於いて、無い。
朝と夜。水の持つ静寂と、透明で自由な形。夕暮れの郷愁を感じさせてくれる音楽とアニメーションと演出。あの、冒頭の、少女が目覚めて、朝焼けか夕焼けか赤く染まった空と海風を受けながら、頬杖をついて、海辺の町と汽笛の音に遠い目を向けるシーンは、”なぜか”物凄いなつかしさを感じさせる。”僕もどこから来たか忘れてしまった、これからどこへ行くのかも、もともと知らなかったのかもしれない”というセリフがある。ヒトの持つ永遠の罰の1つ”忘却”。私たちは、思い出しているだけなのかもしれない。未来の記憶か、過去の記憶かは、わからないけれど。全ての存在の”名前”を。
なんてゆーふうなことまで、自由に考えさせてくれる全くの自由を持つ作品だと思う。いや、”わたしが全くの自由を持っている”ことを証明してくれる作品であるかもしれない。
それ、プラス、青年兵士のイケメン度が最高すぎる。イケボイス度が最高すぎる。
押井守監督最高!音楽・作画スタッフさん最高!根津さん、兵藤さん最高!
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