「天野喜孝の絵が動く」天使のたまご yuki*さんの映画レビュー(感想・評価)
天野喜孝の絵が動く
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その美しさをただ堪能する映画。押井守が自身の著書「メカフィリア」でいうには、「潮のみちひきを繰り返し、循環し続ける世界は子宮。少女が守る卵は処女性の象徴、街が抱く巨大な卵は卵子。そこに侵入してくる少年は彼女を外界へと開く【男性】そのもの。戦車の大砲はペニス、白い鳥の羽は射精」というようなことを言っていた。そういうお話だと思う。そこへノアの箱舟の神話、鳥と天使のイメージを重ねて荘厳に幻想的に演出してくれるのがよい。
少年が少女を信頼させ、武器で卵を突き破るシーンはまさに破瓜。世界をぶち破られたことに気づいた少女の絶叫は凄まじい。少女は彼を追って水中に落ち、水中から現れた【大人の女の姿の自分】と入れ替わって、水底へ沈んでゆく。そして旅立ち。
「卵は割ってみなければ、中に何があるか分からないものだよ。」少年のセリフが印象的だ。その通り、閉ざされた世界は大切だし、守り続けることも大切だが、いつかは破られ、開国しなければならない。
それも無理やりではだめだけど、強引さも必要なのである。難しいね。
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