「欲望についての話に見えた」天使のたまご 弁明発射記録さんの映画レビュー(感想・評価)
欲望についての話に見えた
すげぇー!押井守は40年前から押井守だったんだな。
ってか、よくこの企画が通ったよな。明らかにアート系。
他の人の考察を何も見ずに最初の印象のストーリー。多分こんな話だったんだろう、という自分解釈の考察、あらすじ。
[あらすじ]
デカい目の不気味な像が宙に浮いています。デカい目に見えてますがよく見ると人型の石像の集合体。大きな剣を持った男がそれを眺めてます。
その石像から遠く離れた廃墟にたまごを大切に温めている女の子がいました。水が好きで大きいボトルに入れてごくごく飲みます。森にいるとなんか不安。あと食うものがないので街に行ってジャムみたいのを盗んで食べます。街は荒廃していて人がいません。
噴水に人がいた!と思いきや漁師軍団でした。女の子は怖くなって逃げます。
すげぇ不気味な戦車がギュルギュル音をたててゾロゾロやってきました。戦車から剣を持った男が降りてきます。
剣持ち男がついてきて女の子は逃げますが先回りされました。しかも「大切なたまごは自分のお腹にしまって」とたまごを盗んだ上で偉そうに言います。女の子はたまごを取り返しました。
漁師軍団は街を泳ぐ影の魚を追います。しかしいくらモリを投げても捕まえられず。窓を壊すばかりです。女の子は「いもしない魚を追ってる」と呆れ顔。
男は昔話をします。大雨で洪水が起きて人も動物もほぼ死んだ。生き残った人が大きな鳥を飛ばして世界を再現しようとしました。
男はこの昔話の鳥を探していました。
警戒心を持っていた女の子はだんだん男に心を開いていき自分が寝ていた場所に案内します。
そこは石になった大きな鳥がいた場所でした。女の子は大きな鳥のたまごを自分があたためているんだみたいなことを言います。
女の子はベッドに寝ました。男は焚き火をたいて見張ります。どうしよっかなー女の子寝たかなーと黙っていた男。ふいに動いて剣でたまごを割りました。
女の子が目を覚ますとたまごが割れていました。たまごの中はカラでした。女の子は発狂して叫びます。
女の子は男を追って走りますが崖から落ちて川に沈みました。沈む瞬間に大人の女性になり泡から沢山のたまごができて川に浮かびます。たまごは木にも沢山できました。
そして女の子はデカい目の像の一部になってしまいました。死んで墓ができたのです。
それを見て男は「女の子も結局無いものを守り続けて、しかもそれが割れただけで発狂して死んじまったなあ」とむなしく思います。
この世界では欲深い魂の人間が死ぬたびにカラのたまごができるのです。
これが「天使のたまご」です。無駄にでかいたまごがそこら中にできて男は次々と割らないとならないのです。
カメラがどんどんひいていき鳥の視点になります。大きな鳥は今もはるか彼方の大空から見下ろしているのです。欲深い人の業を眺めながら。
[あらすじ終了]
個人的には人間の欲望の話に見えた。
そもそもあらすじをわざわざ考える必要がある、というのがすごいよな。全然分かりやすくない。
他の人の考察も見たがなんか全然違うことを言っているので自分は的外れなことをのせている可能性もある。
この映画はきっとこんな話だったんじゃないか?とあれこれ解釈して楽しむ系のもの。押井守監督自身もインタビューでそんな感じのことを話していた。
押井守監督はこういう感じのが多くて『イノセンス』や『スカイ・クロラ』あたりもこんな感じで何なら『ガルム・ウォーズ』もこんな雰囲気があった。
やりたいことはそういう意味では明確。分かりやすい映画ばかりが映画じゃ無いよな?!こういうのもあっていいっしょ!という姿勢が既にこんな前からあったのはやはり只者じゃないよな。こんなチャレンジングな企画が許される時点ですごいわ。
今回、音響がいいドルビーで観たら、戦車がギュルギュルギュルいって動く音がうるさいのよ。そんな音を轟音で聞きたくないわ、と。しかしこの体験こそ、映画館の醍醐味。
全然万人にすすめられるものではないけど、こういう作品も劇場で公開できる、何なら結構客が入っている、というのはいいことなんだろう。日本のアニメ文化の文化たる所以。
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