「薦める本も凄い。」ぼくたちのムッシュ・ラザール ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
薦める本も凄い。
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鑑賞直後に胸にグサリと突き刺ささってくる作品。
これは他国の出来事で、他国の教育事情で、移民問題なので
私たち日本人には関係ない、と思って観るのは大間違い。
少し前の作品なのだが、今日本が抱えている問題にも程近い。
モントリオールの小学校で朝早く登校した生徒が、教室で
自殺している担任教師を見つける(すでにこの部分でショック)
現場を見たのは仲良しの同級生、シモンとアリスなのだが、
彼らのその後は大きく変化する。そんな中、後任に採用された
アルジェリア系移民のバシール・ラザールが、傷ついた生徒達
と対峙しながら心を通わせ始めるのだったが…。
ドキュメンタリー?のような手法ながら、しっかりドラマに
なっている。さらなる問題は次々と彼らに降りかかってくる。
傷付いた子供達のケアはもちろん、授業も進めなければならず
こんな時に担任になるなんて普通でも大苦労するはずのところ、
バシールは独自の教育論と対話で子供達の心の垣根を取り払う。
しかし彼にも打ち明けていない重大な秘密があった。
それが露呈する後半(特に校長との会話で)一気にリアルな結末
が、一方的に突き付けられる。子供の心に寄り添い対話すると
いう重要な役割を担う大人にも、それぞれの事情や壁の存在が
あるのだと、感動教育ドラマなどという枠に留めていない展開
が新鮮で、こういう映画を日本でも道徳の時間に見せたらどうだ
と思ったくらい。バシールはもちろん、子供達の演技力も必見。
(子供の本心を聞き出すためには大人はどうしたらいいのだろう)
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