「とびきり出来の良いハンバーガーみたいな映画」ラストスタンド 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
とびきり出来の良いハンバーガーみたいな映画
言わずと知れたアーノルド・シュワルツェネッガー主演復帰作にして、
『グッド・バッド・ウィアード』『箪笥』のキム・ジウン監督ハリウッドデビュー作。
いや、面白かった!!
歳を取ってもシュワちゃん大暴れ!
肉弾戦こそ少なくなったが、ショットガンをガンガンぶっ放して敵を薙ぎ倒す。
年齢を笑いのネタにしつつ、勘の鋭さやリーダーシップをあちこちで発揮したり、
ヒロイックに仲間の救出に駆け付けたりと、主演の名に恥じない堂々たる存在感。
ズガガガガッと機関銃乱射した後に
「ウェルカム・トゥ・ソマートン……」
と捨て台詞を吐くシーンにシビれた。
これだよ、こういうシュワちゃんを待ってたんだッ!
歳を取ってもだいじょうV!(←古い)
序盤でキャラ説明や伏線張りを行い、中盤で敵の凶悪さをアピールしつつ
主人公VS悪党の構図を作り上げ、終盤で戦闘準備→大銃撃戦、
最後はもちろん肉弾戦で締めるという、
ハンバーガー並みに王道な作りのアクション映画。
いや、たかがハンバーガーと舐めてはいけない。言うなれば本作は、
素材をひとつひとつ丁寧に調理した、とびきり出来の良いハンバーガーだ。
まずサブキャラの描き方の上手さ。
ヒマ過ぎて銃で遊ぶ副保安官2人、自堕落な元カレを留置所にぶち込んだばかりの副保安官、
エキセントリックな銃器マニア(なにげに親日家)、出し抜かれっぱなしのFBI捜査官、
牛乳にこだわるクリスティとカフェののほほん常連客、
あとサラザー夫人(爆)。
出番の少ないキャラにも何かしら印象に残るシーンを用意している細やかさが好印象。
特に前半、とある人物が退場してしまうシーンでは泣きそうになってしまった。
歳を取るとどうも涙もろくなっていかんのう(←28歳)と思ってたら、周囲からも鼻をすする音が……。
出番の少なかったキャラにこれだけ感情移入させるって、結構スゴい事だと思う。
そして目を引くアイテム群。
車好きでなくても『おお、カッケー』と呟いてしまいそうな
コルヴェットZR1は劇中の言葉通り、バットモービルばりの存在感!
“ナチ殺しのヴィッキー”を初め、妙チキな武器や装備がわんさか登場する点も楽しい。
キャラが繰り出すトボけた笑い、面白い小物、そしてアクションを上手にちりばめたお陰で
語り口に淀みが無く、飽きが来ない。とにかくウェルメイド!
シュワ主演復帰作として大・大満足の出来です。
〈2013/4/26鑑賞〉