「もう一つの視点」クロニクル えらさんの映画レビュー(感想・評価)
もう一つの視点
YouTubeの動画の前に入る宣伝動画。いつもはイライラさせられるだけなのに、この映画の予告編は違った。一発で魅せられ、前情報は入れず早速映画館に向かい鑑賞。『パシフィック・リム』に匹敵する衝撃度の体験をしました。
他の方も書かれていますが、この作品は「ファウンド・フッテージ」「男子高校生」「超能力」などそれぞれの要素がガッチリ組み合わさっているのが素晴らしいです。
序盤は手持ちカメラ視点で男子高校生の日常を描き、超能力を得るまでに3人のキャラクターは容易く把握できます。手持ちカメラが日常を映すのに相性抜群なのは言うまでもないけど、それだけで終わらないところに作り手のセンスや作り込みが伺えました。まさか手持ちカメラというありがちなツールと超能力を組み合せるとは。
そこから超能力が強くなる過程、それに伴って変化していくアンドリューの心理を丁寧に描いているからこそ、終盤の展開の恐怖感や悲壮感、衝撃度、感情移入度が格段に増してると思います。
終盤では手持ちカメラだけでなくテレビカメラ、監視カメラ、一般人の携帯カメラなどから様々な視点から主人公達を映しますが、特にテレビカメラ視点から映された主人公達は本当に現実の世界で浮遊しているようでしたね。乗っている人物が乗っている車が浮いてそのまま飛ばされるシーンなども臨場感がたまらないです。
ここまではありがちなレビューだけど、僕がこの映画で最も好きなシーンはマットがアンドリューが落とした父親を助けに行くシーン。
完全にたがが外れ暴走するアンドリューに恐怖感や悲しみを感じているところに、あの対象的なヒロイックな行動!最初は能力がもっとも下手くそだったこと、自らが作った「人前で能力を使わない」というルールをあのやり方で破ること、彼女(?)のカメラの隣から一気にビルの高いところまで飛んでいくあの構図(アングルは地上の彼女のカメラのまま)も合間って最高に高揚しました。この映画は一人のヒーロー誕生の物語でもあると思います。マットのその後が気になるな…。
アンドリューの話なので基本的に重たいけど、その後に広がる青空や救いのあるラストシーンで不思議な余韻が残ります。最高の青春SF映画!映画館での公開はもうすぐ終わってしまうので是非!!