「大阪ノワール」黄金を抱いて翔べ りりーさんの映画レビュー(感想・評価)
大阪ノワール
原作は、高村薫のデビュー作。未読。
2人の男達が、大銀行の地下に眠る240億円の金塊を強奪しようと計画するところから始まる。
札束ではなく、金塊というところがミソ。
何で、あんなに重たいものを・・・と疑問を抱くが、劇中で解決される。
強奪のための人集めで、4人の男が集まる。
合計6人。
リーダーの北川。
実行犯の幸田。
システムエンジニアの野田。
爆弾工作員のモモ。
相談役のじいちゃん。
北川の弟で資材調達係の春樹。
これがまた、みんなイケメンなんだな~。
それぞれがそれぞれの役に似合っていて良かった。
皆が皆イケメンでも、嫌味がない。
だから、見ている私も「うまくいきますように!!パンパン!!」と思ってしまった。
金塊に吸い寄せられるように集まる仲間たち。
その過程で各人の過去や背景などが、見えてくる。
個性があり良い。
クールな妻夫木君。
過去と現在の重さを引きずりながら、生きてきたためか、強い。強い。
大阪弁じゃないけど、良かったよ。
リーダーの浅野さん。
意外にも(失礼)貫禄があり、優しくて、良き夫、良きリーダーを好演。
桐谷健太さん。
大阪出身だけあって、自然な大阪弁と大阪の雰囲気を余すところなく出してくれている。
コミカルさが生きている。
チャンミン。
東方神起の名前くらいは知っているが、じっくりお顔を見たのは、初めて。
可愛さと辛さが溢れていた。
後ろの席のオバサン達が、≪もう~~~!可愛い!!ず~~と出ていて欲しかったわ≫と言ってたよ。
溝端クンも若さゆえの突っ走り感が良かった。
西田さんは流石の貫禄充分。
で、金塊強奪作戦。
裏稼業には裏稼業なのか、邪魔者が寄ってくる。
暴力団風の男や謎めいた男。
どいつもこいつも怪しい。
胡散臭い。
目立ってはいけないためか、はたまた、作戦実行が夜のためか、作品を包む雰囲気も暗く沈みがち。
でも、そこへ時々大阪のおばちゃんが登場。
その一言が、場を和ませる。
さすがやわ。
大阪を知っている監督ならでは!、やね。
先行き不透明、閉塞的な今日の生活。
そんな中での、大それた計画。
過去・現在の反逆性。
未来への儚げさ。
6人のメンバーの切ない吐息が聞こえてきそうだった。
ノワール感がばっちり。
でも、前半が少し長かったな。
もう少し短めにして、強奪作戦を早めに実行してほしかった。
舞台となる大阪。
中之島・淀屋橋のオフィス街、梅田の繁華街、吹田の住宅街。
暑い夏。
どれもが、この作品にぴったり。
劇中、北川と幸田が訪れる大銀行は、本当に淀屋橋にある、当時の財閥系銀行の本店だ。
野田が、「出身は神戸やで」と言っていたが、これは大阪の冗談で、本当は大阪出身だよね。
クスクス。