「ある程度の生活感は出さなくちゃ。」新しい靴を買わなくちゃ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ある程度の生活感は出さなくちゃ。
いつの間に、子供を産んだらパリに在住…したのかと思いきや、
最近では女優?業に復帰し始めた中山美穂主演の恋愛ドラマ。
確かに当時(モロ被ってますが)彼女の人気はすごかったけれど、
アチラに移り住んでからは…幸せに暮らしてるのかなぁ~と
思うくらいだった。だから最近またお目見えし始めて驚いた。
そういえば40代で復帰し始めた昨今の女優陣、どなたを観ても
皆さんおキレイ…歳はとったとはいえねぇ、さすがに見られる
容姿じゃないと^^;そりゃ復帰もしたりはしないか。
で、もちろんミポリンも相変らずお美しい。…なんだけど、
なんかこの人の立ち位置が今ひとつ分からないんだな、私には。
アイドル?歌手?女優?どれも無難にこなしていた彼女だけど、
かといってコレだ!的に確立する訳でもなくフッといなくなって
で、またこう~フワフワと舞い戻ってきていることの不思議感。
ワケの分からない激しい恋愛モノを演ったり、かと思えば純愛的
な作品も、ただ一貫して生活感を出さないドラマが多い気がする。
まぁ女優さんですから…目線で見れば不思議なことじゃないけど、
むしろ女優としてまた勝負するのであれば、自身の年輪に乗じた
不幸や重荷を背負う中年女でも演って、勝負に出て欲しいところ。
どうやっても岸恵子にはなれないと思うんだわ…ミポリンは。
さて、彼女の動向はこのへんにして、映画の感想を。
うわ~このヒトも懐かしい北川悦吏子の脚本、そして今回は監督も。
新しい視点でものを観なければならないのはむしろこの人の方か^^;
と思うくらい、個人的には懐かしい台詞や舞台背景が立ち並ぶ。
現実感のなさは、どちらかといえば彼らのサイドでうごめいている
妹とその彼氏(桐谷美玲と綾野剛)の方だけど、彼女のドラマらしく
女性目線で男の行動を定義づけている。だいたい半年もの間彼女を
ほったらかし絵を描いている男が普通に結婚できる相手とは思えず、
そりゃ来るもの拒まずでお相手はするけれど、縛られるのは嫌だよ。
なんて、よくまぁ今まで付き合ってきたなと思うけれど(惚れた弱みね)
彼への決着のつけ方もかなり女性的。
これはこれで、さもありなん。な展開だったけれど、この話の挿入と
主軸になるアオイとセンの物語がまるで繋がっていないため、途中で
ブチっとフィルムが切れたような感覚を覚える。
全体的にスタイリッシュ感を出しつつ、岩井俊二のリアルな漂い感も
取り入れつつ、オシャレなパリを舞台に作ってみましたわ~!という、
同じエッフェル塔でも「水曜どうでしょう」とは撮り方がまるで違う!
(当たり前だ)
そんな中、ここはミポリン、チャレンジしたのか!?と思えたのが、
アオイとセンが互いの過去を明かし合う部屋でのひとコマ。
彼女が新しい生活に踏み出せない理由はどうやらそこにあったのだが、
一児を抱える母親となった彼女にしかできない表情を撮りたい監督の
心意気が見えた気がした。旅先で出逢い、何となく惹かれあう男女の
短い日々を描いた作品は多いが、燃えて散るような粘着モードではなく、
歳の差カップルらしく、今後の互いの人生に最適な選択をしましょうと
癒し合い励まし合って決断するという、サラッとした恋愛ドラマ。
それにしても、あんな高いヒールであの路地を歩くのは危険だよねぇ。
(その前に古い靴を片づけなくちゃ。まずそっちが先なんだわ、私の場合)