「人ならぬモノを追い続けた前代未聞のアプローチ」アンダー・ザ・スキン 種の捕食 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
人ならぬモノを追い続けた前代未聞のアプローチ
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ジョナサン・グレイザー監督は紛うことなき天才だと思っているが、それにしてもよくこんなアプローチを思いつき、よく最後までやりきったものだと衝撃を受けた一本。
というのも、この映画の視点は第三者的な神の視点に近いとはいえ、その「神の視点」が見つめている対象は人間ではなく、完全に「宇宙から来たと思しき捕食者」の側なのだ。つまりこの映画は、スカーレット・ヨハンソン演じる宇宙人(というか宇宙人らしき何者かから地球に派遣された生命体の模造品のようなもの)を主人公にしたドキュメンタリーみたいなもので、しかも作り手が「人間とはまったく生理も感覚も異なる宇宙人だったらどうなる?」というシミュレーションといっていい。
ややこしく書いてしまったけれど、要するに「宇宙人が映画を作ったらどんなだろう?」というチャレンジであり、人間を逆なでするような作りでありながらも、どこか共感してしまう切ない普遍性すら宿っているという、ほんととんでもない作品だと思う。
ジョナサン・グレイザー恐るべしと、どの作品を観ても思うけれど、エッジさにかけてはこれが一番だし、これを超える作品はなかなか生まれないのではないだろうか。
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