「名古屋ロケ」MY HOUSE クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
名古屋ロケ
あの、堤幸彦監督作。不安でいっぱいだけど、
これが堤監督の撮りたかった作品、という事で、
今までの映画はやらされてました、て告白しちゃってる作品。
全編モノクロで台詞も殆ど無く、登場人物も少ない。
ホームレスの鈴さんを軸に、
その対局として中学生ショータは優等生、
その母トモコは夫が医者で極度の潔癖症。
関わりがない、としてるが関わりはあって、
トモコの出すゴミを鈴さんが毎日受け取っていた。
その事実をショータがあるきっかけで知り、
更に内緒で買っていたカメを父に殺され、
ショータが暴走し始める。
ホームレスの視点から、都会というものは、街の幸の宝庫であり、
「働く所も、住む所もあるぞ」と誘われても拒否したのは、
家も仕事も無くても生きていけるし楽だ、という事。
そのホームレスを目の当たりにする、
ガリ勉中学生のショータからすると、
こっちは朝から晩まで親や先生の為に勉強させられてるのに、
何の努力もしないで他人のゴミを漁って生きてるなんて、
しかも視界に入ればこちらが不愉快に感じるなんて、
僕の死んだカメは僕に癒しをくれたのに、
てめーらはカメ以下なんだから殺されて当然だ!、
てな感じだろうか。
生きる事を強要されてる中学生と、
生きるために必死なホームレスとでは、
全く相容れないから最後はあーゆーことになるんでしょう。
視点は面白い。でも結論がぼんやりしてる。
トモコやショータの妹も、もっと日常を描いて欲しかった。
堤作品としては意外な作品でした。
見る価値はあると思います。
全編、名古屋ロケなのがよく分かります。
科学館の前通ったり、ラブホテルは今池だったり、
ホームレスの住処は小幡緑地らしいです。
コメントする