「良い出来ですが・・・原作での補修が必要」プラチナデータ gsacraさんの映画レビュー(感想・評価)
良い出来ですが・・・原作での補修が必要
「国民皆DNA制度」とでも言うべきシステムが稼動するある時代を舞台にしたサスペンスものです(原作者はきっと、「ガンダムSEED Destiny」から着想を得たに違いない、と見ながら思ってしまうオチでした)。
システムをくみ上げた立役者であり、第一人者である主人公が、ある日そのシステムによって殺人犯と告げられてしまう。何が起こっているのか、を突き止める逃避行が始まる。
という、定番なストーリー展開で安心して見ていられます。
本作のキャスティングは良い感じで、メイン級の二宮・豊川・杏・そして水原希子とスクリーンに映えてくれて見ていて楽しめました。
画づくりも丁寧にされていて、セット一つ一つも破綻無く組まれているな~と感心してました。最後まできちんと集中してみることの出来る、十二分に及第点の良作とは思います。
残念といえば、上映時間を考えると小説のエッセンス全ては表現できない原作付き映画の共通の悩みでもあるのですが、筋が通らない・腑に落ちない点があって、エンディングを迎えてもすっきりしない「もやもや」感が残ってしまったことでしょうか。
仕方ないとはいつも思うのですが、原作を読んでスッキリしたいと思います。
以下ネタバレ含みで、気になった点を羅列しますと・・・
○自分が二重人格と分かっていたのに、DNAで全てが分かると考えている当初の主人公の価値観の矛盾(このため、最後の場面での母たる人へ向けた主人公のセリフが重みを失ってしまった)
○たかが一研究者が、仮にも諜報員クラスの人間の動向を把握して手際よく始末できたこと
○遺伝子の選別をしたい、という欲望と、真のプラチナデータを作る必要性が繋がらない
などなど。でも、良い出来と思いますよ。