「母国を失う日本人を描いていて感慨を覚えた」日本沈没(1973) Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
母国を失う日本人を描いていて感慨を覚えた
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1973年製作/144分/日本、配給:東宝、劇場公開日:1973年12月29日
50年以上の前の映画ながら、富士山の爆発等の特殊撮影にかなりの迫力があって驚かされた。特に、南側の沈没を受けて多くの人間が逃げ込んだ北陸地方に、大きな津波が襲うシーンは、2011年の3.11を思い起こすリアリティーが満点であった。この映画の津波の映像だけでも、日本国民に周知徹底されていたら、なんて思ってしまった。
脚本は名匠橋本忍。とはいえ、藤岡弘といしだあゆみの恋愛模様は、あまりにもインスタントに思えた。いしだあゆみが若くて魅惑的だっただけにかなり残念。
危機をいち早く察知する学者を小林桂樹が熱演。ただ、学者としての重要なものは?を聞かれ、「カン」と答えさせていたのにはガックリとしてしまった。“常識に捉われないデータに基づいた大胆な仮説設定”とか言って欲しかったところ。
日本人全体への責任感大の首相を演じた丹波哲郎は、理想的すぎる気もしたが、結構リアリティも感じさせて、適役!と思わされた。二谷英明も仕事ができるエリート官僚らしく、とても良かった。
撮影木村大作、監督森谷司郎、音楽佐藤勝は今考えるとなかなかの布陣だが、実際国を出て、何処かの海外でしっかりと生きる日本人像(藤岡弘も石田あゆみも出会えてはいない様だが、元気そう)を見せて、心に響くところがあった。
監督森谷司郎、原作小松左京、脚本橋本忍、特技監督中野昭慶、撮影村井博、 木村大作、照明佐藤幸次郎、美術村木与四郎、
録音伴利也、音楽佐藤勝。
出演
小林桂樹、藤岡弘、丹波哲郎、二谷英明、いしだあゆみ。
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