「日本民族の行方や如何に?」日本沈没(1973) しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
日本民族の行方や如何に?
DVDで7回目の鑑賞。
原作(小学館文庫版)は既読です。
原作は論文レベルの緻密な科学情報量で未曾有の出来事を描写し、それを通して日本民族の在り方を問い、地震や火山噴火が頻発していた世情もあって大ベストセラーとなりました。
東宝が映画化権を獲得し、監督・森谷司郎、特技監督・中野昭慶、製作・田中友幸と云う最強布陣で製作。大ヒットを記録したことで、東宝はパニック映画を次々と製作しました。
地震や噴火の猛威を、中野特技監督お得意の膨大な火薬と熟練の技術を駆使してダイナミックに描き出していました。
ハイライトである第二次関東大震災は、本編演出と特撮が巧みに融合していて、屈指のスペクタクルシーンでした。
炎上するコンビナート、崩れ去る高層ビル群、逃げ場を失った人々を襲う火災や濁流など、大迫力シーンの連続でした。
惨状に被さる「死者・行方不明者360万人」のテロップ。地震に対して大都市が如何に脆弱かを突きつけられました。
富士山の大噴火が引き金となり、大地が裂け、あらゆるものを道連れにして海中へ没していく日本列島。長大な龍が鮮血を吹き出しながら最期の咆哮を上げているように見え、その様はとても悲壮ながら、息を呑む迫力でした。
自分たちの国が無くなると云う未曾有の事態に接した人々の人間模様も胸に迫りました。それぞれが独自の見解を持ち、想いに従って行動する様子が重奏的なドラマを生み出していました。国や民族の存亡の際、多くの運命を背負うことになった者たちの決断に心揺さぶられました。
[以降の鑑賞記録]
2020/02/18:DVD
2020/09/17:Amazon Prime Video
2020/12/19:Blu-ray
※修正(2023/02/13)