「健気でいい女じゃないか」レンタネコ Takehiroさんの映画レビュー(感想・評価)
健気でいい女じゃないか
タイトルが一体何なのだと思っていたら、ネコをレンタルする女性(演:市川実日子)の話で、「レンタルネコ」じゃねえかとも思うが、ネコを貸すためには審査があって、ネコをいじめたりしない人なのかどうか判断できれば貸せるのだという。石焼き芋のようにリアカーにひいてお客さんを見つけるというのもとってもフィクションであるが、なんとなくゆったりした気分ではある。おばあさん演:草村礼子)がネコを借りたいというので、ネコをレンタルする女性はおばあさんの家までいって少し話をして、貸してOKということにした。前金千円のレンタネコ商売では成り立たないので、おばあさんは心配して成り立っているか聞くが、レンタルする女性は、生活は株式投資で暮らしているのだという。生活のためではなく趣味的な行為であるようだ。その後、変な人達や変てこなエピソードがのったりと進んでいく。ネコ好きは亡き祖母の影響で、祖母の話は出てくるが、両親の話はまだ出てこない。道で会う小学生には、馬鹿にされている。一人暮らしで、ふすまに墨で目標を書いている。「今年こそ結婚する」、「焦るな、顔で選ぶな」。そしてレンタネコの営業で、中年男と会う(演:光石研)。その男は長期の単身赴任中で、あと少しで帰れる様子。ところが娘に臭いから嫌だ。と、言われてしまっているのだと言う。そんな話で相手の人間性を判断し、ネコをレンタルできるとした。同じパターンで、前金で指一本立てると、1万円?え?10万円。いいえ、千円です。そして、別の商売もしてますから。と。ところが今回は、株式投資でなくて、占い師をしてますという。
これって一体?しかし、ネコを借りるおばあさんや中年男の良い人だこと。レンタルネコ屋の女性は本当に占い師もしているのだった。その占いもネコ絡み。近所のおばさんのようなおじさんのようなおばさん?はやはり小林克也さんだったのか。レンタルした後も一筋縄ではいかず、ネコアレルギーの息子に返されたり、レンタルのネコをくださいと頼まれたりする。夢のシーンから猛暑のシーンまでの繋がりは凝っている感じだった。テクニカルだ。(共演:山田真歩)しかし、どうしてネコと仏壇の祖母の話は出て来るのに両親の話は出ないのか。結婚願望の目標が追加された。「選択の余地はない上下15歳まで可」。パターン化も面白いが、4人めの客かと思うと、中学の同級生の男だったが、主人公はなぜか避ける。それが明日インドに行くのだという。ところが嘘つきはったりの吉沢だった(演:田中圭)。中学の時から嘘つきはったりだったが、私はインドへ行くのが本当かと思ってしまった。騙されてしまった。そうめんとか、キャベツかじりとか、ドーナツとか、ビール瓶で飲むビールとか、この映画は簡単な食事に面白みがあると思う。猛暑の中の。吉沢が主人公のサヨコの家にやってきて、他愛のないような話をする。吉沢が「今年こそ結婚するぞ」を読んで、わあっーと叫んで隠そうとするが、既に吉沢は去っていた。そして夜中に警察がやってきて、この男をみませんでしたかと・・・。運命の人がやってくるまで健気に生きている結婚願望の女性のネコがらみの日常は優しかった。